B&B Italia創業者ピエロ・アンブロージョ・ブスネリが88歳で死去

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1966年の創業以来、前衛的なデザインと技術革新で世界のモダンインテリア界を牽引しているイタリアの最高級ブランド「B&B Italia」

イタリアが近代化・工業化へと歩み始めた1960年代。

過去、家具は、家内工業的家具生産が主流だった。
画期的な製造方法と野心的な試みを一生涯貫いた「B&B Italia」創業者ピエロ・アンブロージョ・ブスネリが、2014年1月25日、88歳で死去した。

彼は、家具というインテリアを、強い信頼関係で結ばれたデザイナーたちとともに積極的に新しい工業手法を考案し、時代から求められ、人々の夢を叶える・・・そしてクリエイターであるデザイナーが思い描くとおりの家具を次々と生み出した。
その魂は、現在に至るまで連綿と引き継がれ、その革新的な技術とアイデアの創造は、創業当時より他とは一線を画していたのだった。

B&B Italiaの斬新な家具を生み出すためのインスピレーションは、イタリアという喧騒と熱気につつまれた時代の流れの中で発展を遂げてきた。

彼は、イタリアのデザイン文化に世界各国の専門家(デザイナー)を取り入れた。
BVLGARI(ブルガリ)ホテルやVALENTINO(バレンティノ)のショップデザイン等、現在のデザイン界において幅広い活躍をみせているAntonio Citterio(アントニオ・チッテリオ)、建築・家具・照明・食器に至るまで、幅広いシーンのデザイニングにおいて優れた才能を持つ女性デザイナーPatricia Urquiola(パトリシア・ウルキオラ)をはじめ、イタリアデザイン界を代表するデザイナーMario Bellini(マリオ・ベリーニ)は、同時に建築家でもあり、コンパッソ・ドーロ賞を7回にも渡って受賞し、彼のデザインの多くがMOMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションとなる等、世界的に非常に高い評価を受けている。

イタリアデザインでは珍しい日本人の深澤直人もデザイナーとして参加している。(日本国内で、±0や無印良品のデザイナーとしてその手腕を発揮する他、グッドデザイン賞の審査委員長としても活躍)

こうした才能あるデザイナーを意欲的に起用することに加え、「低温発泡モールドウレタンの一体成型」という革新的な家具製造技術によって、 B&B ItaliaはUp、Coronado、Lombrico、Amantaといった、デザイン界での憧れの対象となる 数々の製品を生み出してきた。

80年代。
ワードローブSisamo(1984)、ソファSity(1987)が、イタリア工業デザイン界において最も権威あるとされるコンパッソ・ドーロ賞を受賞した。
アントニオ・チッテリオがデザインしたSityは 家具の歴史上初めて、ユニットに分割したシートをさまざまに組み合わせて使用する「モジュール シーティングシステム」を用いた製品で、L字型ソファという新たなスタイルを発信し、「スタイル」をデザインした画期的な家具は世界中から注目を集めた。
これらの功績が評価され1989年にはB&B Italia社に対して コンパッソ・ドーロ賞が授与された。

この賞が特定の製品にではなく、企業に対して与えられたのはこれが初めてで、デザイン界におけるB&B Italiaの評価を一層高めたのである。

1960年代初頭、ピエロ・ブズネリは、一介の家具職人として暮らしていた。
コストを時間のかかる、前時代的な家具の製法に疑問をもっていた。
新素材ウレタンを使った「低温発泡モールドウレタンの一体成型」という製造技術を生み出し、工業的家具作りによって生産性を高めたのだった。

彼は、この新素材に未来の家具の姿を発見し、安定した職を捨て挑戦を始めた。
彼の挑戦心と発想に惹かれ、多くの経営者たちが投資を買って出た。

日本では、イタリア家具といえば「alflex」や「カッシーナ」が有名だろう。
彼が、この自分への挑戦を始めた時期にカッシーナとの運命的な出会いがあった。

カッシーナとブズネリの頭文字を社名にした、「B&B Italia」ブランドの前身「C&B Italia」が誕生した。
ウレタンを主素材にしたソファなどの家具は瞬く間に注目を浴び、そして、いつしかカッシーナと売り上げを競うようにまでになる。
子会社の発展は喜ぶべきことだが、親会社を脅かすほどの成長はカッシーナ側では望んではいなかった。

カッシーナ側は、ブズネリに株の売却を要請。
しかし、彼は、自分の夢の結晶を手放すことはできなかった。
彼は銀行を巡りに巡り、逆に半数以上の株を買い取った。

後年、彼は、「銀行(Bank)とブズネリで、B&Bなんだ」と語ったというエピソードがある。
カッシーナは、世界で受け入れらる高級家具を製造するが、B&Bは、毎年売り上げ高の3%以上が研究開発に投資され、デザインから製造、販売の全工程に至るまで、徹底した品質管理が行われている点が特徴で、高い製造テクノロジー、斬新な形のデザインで、いかにも「イタリアモダン」で、といえる。
B&Bらしさは、天井の低く、狭い、日本の住宅では、威圧感を感じさせるものが多く、かえって日本の住環境と合わないのかもしれない。

しかし、上述のように、日本人デザイナーを起用するなど、ピエロ・ブズネリは、いつまでも挑戦者であった。

ポストモダンの先駆者でもあり、イタリアの反インダストリー・反大量生産のラディカル・デザイン運動を行った、メンディーニのアルキミア、ソットサスのメンフィスについて聞かれた、ピエロ・ブズネリは、こう答えたという。

「二つの動きとも文化現象で興味のあるものです。

しかし、重要なものかもしれないけれどやはり一つのリサーチなんですね。
いろんな既成のデザインへの反攻のリサーチであり、それは一つの試みであるわけです。

メンフィスのものも、面白いものがあるが、ふざけたものも多いと思います。
ですからデザインのパンクだといっているわけです。

私はジャーナリストに敵を作りたくないけれども、例えば、いい行いをした場合は、残念ながらあまりジャーナリストは取り上げない。

しかし、誰かを殺したというと大きな記事になる。

だからメンフィスのあのセンセーションがおこったら、ドイツも日本もみんなイタリア・デザインがその方向にいったように書いている。

しかし、それはひとつの現象です。
そういうものがイタリアに生まれたという必然性があるし、他の国では決して生まれないものと思います。
だからソットサスがメンフィスをやったのですが、他のものが騒ぎすぎたわけです。

もっというとルイ15世の家具に見られた猫足や、近代のコルビュジェのデザインした家具の真っすぐな脚いずれも歴史を感じますが、メンフィスの脚には歴史は見られない。

メンディーニも、ソットサスも非常に優秀です。
商業的にうまくいかなかったのかもしれませんが、リサーチとしては重要なことです。
各企業がメンフィスの色を参考にしています。
ですから、今のイタリア・デザインというのは、メンフィスも含めたものがイタリアなのです。」

アイキャッチ画像は、世界的写真家であるオリヴィエロ・トスカーニが撮影した。
Le Bambole (マリオ・ベリーニ 1972コンパッソ・ドーロ賞受賞)の挑戦的な広告は、世界中に革新的なB&B Italiaを焼き付けた。

クラシックな家具のフォルムや伝統的な職人技を生かし、木の特性や美しさをデザインする表現で、「時代を超えたモダンクラシック」という厳格な美意識と安らぎを共存させたブランドのコンセプトを確立した。

B&Bは、インテリアデザインという括りでなく、建築、設計という下地のあるデザイナーたちを登用した。
ビジネスプロデューサーも、ビジネスをデザインする力、設計する力、建築(構築)する力を備えている存在といえよう。

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