調剤薬局クオールとセントフォローカンパニーがM&A店舗数関東トップ
調剤薬局業界第4位のクオール株式会社が、1月31日、茨城県の調剤薬局セントフォローカンパニー(茨城県中心に関東地方に35店舗を展開)の全株式を取得する方針を決めた。
今回のM&Aによって、クオールの484店舗(2014年1月現在)を合わせることで、両社合計で、関東地方において保険薬局業界トップの店舗数となる。店舗基盤に加え、両社の他の経営資源も活かし、茨城県における保険薬局の新たなビジネスモデル(茨城県構想)を実現させる狙い。なお、契約締結は2月28日の予定で、クオールの子会社化とされる。
クオールは「病院前にある多数隣接する調剤薬局との競争することをやめ、マンツーマン薬局を目指す」というビジネスモデルである。
すでに、コンビニエンスストア「ローソン」に薬局を併設し、高齢者社会を見据え、ターゲットを通院客から健康志向の強い顧客も含め、薬局を展開してきた。
1月16日、厚生労働省より診療報酬改定がなされ、薬価は引き下げられ、4月には消費税引き上げで8%になる。
これらにより収益力が大幅に低下する懸念があるため、今後も、業界では駆け込み売却が続くと予想される。
少子高齢化という社会環境の変化と共に、TPP等を考慮した外部環境の変化にも対応していかねばならない。
コンビニやドラッグストアでは薬事法の改定によって薬を売ることができるようになったが、薬局としての販売には、薬剤師の常駐が義務付けられている。
コンビニとしても、高齢者の通院客が増えれば、処方箋ついでの顧客獲得が見込める。
茨城にはつくば学園都市をはじめ、理系の地というイメージがある。
茨城の薬局をクオールが占有していけば、業界そのもののイメージが「クオール」(クオリティ・オブ・ライフー人生の質の略語「Qol」)であるというブランド構築が可能になるだろう。
ビジネスプロデューサーのこだわる「コンセプト」がブランド化するように、クオールの戦略もブランド戦略といえよう。
クオールの店舗展開には以下のサービスがある。
・店舗内に調剤コーナーを設置し処方せんに対応
・ 薬剤師による高度専門情報の提供と医薬品に関するカウンセリングサービスの実施
※薬剤師不在の時間帯には、テレビ電話で店舗とクオールのコールセンター(24 時間薬剤師が常駐)を結び、同様のサービスをご提供
・ 商品は通常のコンビニエンスストアの取扱商品のほか、ヘルスケア関連の商品を強化
(総品揃え数約3,000 アイテム/医薬品数約220 アイテム)
・ 第1~第3類の医薬品販売(第2~第3類の医薬品は24時間販売を予定)
《参考》
株式公開をしている調剤薬局の経常利益ランキングは以下の通りである。
1位 アインファーマシーズ 10,292百万円(前年対比 2.4%減) 2013/4
2位 総合メディカル 4,343百万円(前年対比11.0%減) 2013/3
3位 日本調剤 2,855百万円(前年対比42.2%減) 2013/3
4位 クオール 2,829百万円(前年対比15.0%減) 2013/3
5位 メディカルシステムネットワーク 1,912百万円(前年対比 -) 2013/3
6位 ファーマライズHD 1,470百万円(前年対比 9.5%増) 2012/5
7位 アイセイ薬局 1,283百万円(前年対比25.6%減) 2013/3
8位 メディカル一光 1,036百万円(前年対比10.0%減) 2013/2
9位 トータル・メディカルSV 478百万円(前年対比17.2%減) 2013/3
10位 オストジャパンG 279百万円(前年対比39.4%増) 2012/6
photo credit: Yuya Tamai via photopin cc