絵本で未来創生新事業開始! 集文社
2015年8月。東京新宿に本社のある株式会社 集文社 にて、昨年、代表取締役に就任された早川裕氏に、これからの出版業界の中で、絵本の力と未来について、お話を伺いました。
集文社は、古関喜朗氏が1973年に千代田区猿楽町に「良い企画(文章)が集まる」出版社として、設立しました。
建築・土木関係専門の出版社にいた古関氏は、当時、アメリカの建築系の書籍が多かった中、ヨーロッパの建築関連書籍を求めヨーロッパを訪れ、そこでペーパークラフトの魅力に出会いました。集文社は、建築書及び日本で唯一ペーパークラフトの出版社となりました。
古関社長は、長くやっていくために大企業ではないからこそ、他にはないもの自分が作りたいものを作り継続することを考えていました。そこで建築関連の翻訳本や専門書と共に、絵本の出版などにも取り組まれました。ビッグブック絵本やホログラム絵本や布の絵本などは皆、集文社が日本で初めて出版しました。
2014年4月に、満80歳を機に後継者として、早川裕氏にバトンタッチされました。
その10月に古関会長は病で亡くなってしまわれました。
集文社は、子ども達やお母さん達を元気にする出版社として、新たな船出をしました。
集文社の最終目標は「子どももお母さんも常に笑いあっている世の中をつくること」
その第一弾として、本年2月に産婦人科医池上明氏の胎内記憶をテーマとした『おなかのなかにいたときはね』を上梓。早川氏がライフワークにしている新人絵本作家発掘の一環として絵を描きたい人を募り、応募の中から新人の、いしもりなこさんの起用を決めました。
早川氏が目指す子ども達やお母さん達が元気な世の中とは、明治時代の「富国強兵」政策から現代まで続く日本の教育制度にとらわれることのない、日本人が本来持っている潜在能力が発揮できる世の中、この絵本がそれに気付くきっかけになればとの思いがこめられています。
日本は世界でも稀にみる絵本先進国で、絵本の出版点数も絵本を出版する出版社の数も大変多く、これは、こうした絵本の出版を支える読者の数が多いということでもあります。
世界最古の絵本ともいえる鳥獣戯画は、カエルとウサギが同じ大きさで相撲を取るというナンセンスを違和感なく受け入れる日本人の感性に支えられています。
世界標準の美術では、絵画は絵を表しますが、日本の絵巻には絵と文字が同じ画面の中に収められています。
このことは言語でもいえることで、欧米のアルファベットは表音文字、中国では漢字を使った表意文字ですが、日本は、表音文字のひらがなと表意文字の漢字を組み合わせた独自の言語をもっています。
日本の文化・生活には、こうした異なるもの同士を組み合わせ融合する力をもっています。
ビジネスプロデューサー協会による、「ビジネスプロデューサーとは、既成概念を打破する発想力を持ち、異なる価値観や才能あふれる専門分野の人たちを有機的に関連づけ調整する指導者のことです。彼らは、価値あるビジネス創造を使命とし、現在、閉塞し問題に満ちている社会の歪みをビジネスチャンスに変える誇り高き勇者でもあります。すなわち、次代を切り拓く才幹あるリーダーを私たちは、ビジネスプロデューサーと呼んでいます。」と定義しています。
絵本も、同様に、絵と文字という伝える力を組み合わせ有機的に結びつけるプロジェクトといえましょう。
絵画的なものと文学的なものが一つの中で無理なく読める・・・
絵本には、そうした柔軟性、秘められたポテンシャルがあります。
早川氏は、まるは・おはなし商店として、2006年から読み聞かせ活動をスタートしました。
早川氏は「読み聞かせをする人は3種類に分けられる」と言います。
1.読み聞かせを、面白く楽しい時間を創るための手段(エンタテイメント)ととらえている人
2.読み聞かせを、自分のブランド作り(セルフブランディング)に利用している人
3.読み聞かせを、自分が気に入っている絵本を他の人に紹介する場(プレゼン)と思っている人
早川氏は、常に3を意識して読み聞かせ活動を行ってきました。
読書は本来、楽しみのためのはずなのに、閉ざされた空間で無理やり聞かされる読み聞かせや、感想文を書くために無理やり読まされる本によってかえって苦痛になっている子ども達がたくさんいます。
明治時代から現代にいたるまでずっと続いている富国強兵策、優秀な官僚を輩出するための学校制度に、自分の居場所を感じられないような子どもの教育環境を、新たな教育(学び)の環境・・・コミュニティ・エデュケーションとも呼べるような未来の子ども達の可能性を引き出す、仲間たちによる環境作りを視野にいれながら新事業と新たな活動をスタートされます。
さらに、日本の絵本文化を絶やさぬよう、新人絵本作家の登竜門「えほんみち」を通じ、可能性ある絵本作家の未来も応援しています。
株式会社集文社(SHUBUNSHA.net)
東京都渋谷区千駄ヶ谷 5-26-5-910
電話番号:03-5357-7361 MAIL:info@shubunsha.net
株式会社集文社 早川社長のインタビュー映像