脱毛エステサロンミュゼ任意整理に入りつつも事業継続
安物買いの銭失いという諺が思い出される。
脱毛エステ最大手といわれる「ミュゼプラチナム」を運営するジンコーポレーション(本社・東京都渋谷区)が任意整理の協議に入っていることを発表された。
事業は継続し、再建計画を提出するという。
テレビを観ない筆者は、電車の車内広告のミュゼの広告戦略に少々、食傷気味であった、
ミュゼは全国に190店舗の脱毛エステサロンを展開、会員は270万人といわれる。
500円で脇脱毛し放題という価格設定に、敷居の高かった脱毛に、小学生から通う例も出て来た。
1回の脱毛を終えると、肌の調子が整うまで約2カ月のインターバルを置く。
施術する人間はアルバイトで、経営者は、採算が取れると踏んで店舗展開を行ったのであろうか。
簿外債務や多額の広告費、経営者の豪遊などが理由に上げられているが、医療分野に関わる施術を行う上で、技術の価値ではなく安さで勝負をしようとしたことが、経営破たんを招いたといえないだろうか。
8月下旬にミュゼ倒産の噂がネットに流れた途端、解約件数が増加した。
つまりは、当社に対する信用をもてない(安ければいいという)顧客が大多数であったということを露呈しているのではなかろうか。
激安でし放題でビジネスを行い、大失敗をし、社会的に大きな影響を与えた駅前留学の英語学校のビジネスモデルを知りつつ、広告で客を増やし、不足したスタッフ数で予約が取れない状況であったことと共に、やはり経営者の計画性の無さが、今回の結果を生み出したといえよう。
安物(餌)に寄ってくる人を安物買いの銭失いと呼ぶのか、安物(餌)にしか寄ってこない客を相手にする者を安物買いの銭失いと呼ぶべきか。
しかし、ミュゼのもつ270万件の会員の個人情報は、美容業界にとっては垂涎ものといえよう。
そうした意味では、病院ジプシーと同様、業界にとっては、利を生む宝の山と感じている者もいるのだろう。
ビジネスプロデューサーのビジネスは、情報弱者を相手にするものには食指を動かすことはない。
情報賢者ともいえる、顧客自らが選び取りたいと願う価値を感じるビジネスを生み出すことにこそ貪欲である。
車内広告は、グリー子会社「Lespas(レスパス)」が月額9800円でフィットネスに通い放題の広告であふれている。
ミュゼと同様のビジネスモデルといえるのか、レスパスの今後に注目したい。
(とはいえ、安価で通い放題のジムも多数参入している。コンテンツの充実が、価値を生み出すことになるのだろうか・・・)