農業の未来はブランド構築にあり?
いちごの美味しい季節といわれるが、露地栽培のいちごの旬は3月~5月。
ビジネスとしては、市場には、年末からいちごが出回り、特にクリスマス、年末年始には高値で販売されている。
農業関連のビジネスをされている方は、いちごやメロンは商売になるという言葉を、よく口にする。
東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県山元町。そこで震災後に設立された農業生産法人がある。
農業生産法人 株式会社GRAだ。
代表取締役 岩佐大輝(ひろき)CEOが掲げるビジョンは「10年で100社、1万人の雇用を創造する」
GRAの戦略の大きな1つにブランドづくりがある。
震災前から仙台いちごとして、山元町、亘理町で取れるいちごは宮城県の主要産物であったが、しかし、産地としての知名度は決して高くはなかった。
GRAはICTを活用した先端施設を建設し、温度や湿度、二酸化炭素濃度などの環境要因をコントロールすることで高品質のイチゴの生産を実現し、社会人MBA生などを中心としたプロボノ(ビジネスを行っている職業人が自らの仕事を通じて培った知識やスキル、経験やノウハウなどを活かして社会貢献する動きで、ボランティアの中で、プロのボランティア行為として呼ばれる。プロボノの語源はラテン語のPro Bono Publico(公共善のために)。弁護士や会計士、コンサルタントなどの専門家が「月に数時間」「年間で数日」など一定の時間をNPOの法律や会計、経営の相談などの無料相談等を影響する人たちを総称していた。)をスタッフとし、消費者に分かりやすく伝えるために形にしたものが、「MIGAKI-ICHIGO」ブランドだ。
品質により細かく分類され、最高品質のものはなんと1つ1000円の価格がつけられ話題となった。
そして、インド、東南アジアでも大規模なICT農業を展開し、インドの貧困女性たちの雇用を促したいという。
また、白いちごという、いちごの常識を超えた真っ白ないちご「初恋香り(R)」に、1粒1000円の価格がつけられた三好アグリテック株式会社は山梨県の会社。
ここで研修を受けた台湾の苗栗県大湖のイチゴ農家 胡益漂さん親子が、今年、白いちごの試験的栽培に成功した。
佐賀県唐津市のイチゴ農家6農家でつくる唐津スノーベリー協会で、「雪うさぎ」と「天使の実」と名付けた白いちごを栽培。品種登録を出願中という。
「一部は香港への出荷もあり、唐津の新たな名物に育てたい」と話している。
徳島県では「ももいちご」という甘さが高く、粒の大きないちごが県を上げて特産品としてブランド化している。
商標登録され、漢字は「桃苺」ではなく「百壱五」と書く。
徳島の佐那河内地区(さなごうち)だけで作られている特産品で、農地6ヘクタール、36戸の農家のみの限定栽培で、年間140トン作られ、大阪中央青果に限定出荷されている。
つまり、生産から販売まで限定されている独占市場ともいえるかもしれない。
商標を巡っては、いくつかの争いも起きている。
「ももいちご」の高額価格は、1株に4~5個の実を順次つけるように摘花(てきか)するというような管理を含め栽培方法に人の手がかかっているということ。
また、契約栽培農家同士の勉強会や連携による品質管理を行い、農家が定植時期をずらしながら地域の出荷期間を確保。などの努力が価格を引上げている。
また、同じ株からできたいちごでも、3月以降は品質が悪くなるためブランドイメージを壊さないよう「ももいちご」では販売されない。
かわりに「愛いちご」という名前で近郊流通している。
ビジネスプロデューサーにとって、ビジネスモデルを考える上では、ブランド戦略というのは、大変に重要であろう。
過去からの日本を常に支えてきた農業という産業にも、ブランド戦略によって成功しているビジネスが増えてきていることにも注目していきたいと思う。
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