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補聴器事業のBtoC戦略-シーメンス

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耳の聞こえない赤ちゃんが補聴器をつけた瞬間の動画が話題に!

 

オーストラリアに住む、現在2歳になったLachlan Lever君は、生まれつき耳が聞こえないが、補聴器をつけて、不自由のない生活を送り、すくすくと成長しているという。

このLachlan Lever君が、生後7週間の赤ちゃんの時、初めて補聴器をつけて周りの音を聞いた瞬間の動画が海外で話題になっている。

最初、補聴器をつけられた時、その異物感に泣いて嫌がったが、周りの声が聞こえた瞬間に表情が変わった。
そして、音のある世界に驚いたように目をまん丸くし、両親の声を聞いて笑顔が浮かんだ。

補聴器によって、このちいさな赤ちゃんだけでなく、ファミリー皆が、ほんとうに幸せな笑顔を見せてくれる。
この喜びが、世界にシェアされている理由であろう。

先天的に聞こえに障がいをもつ乳児の割合は1,000人に1~2人(0.1%~0.2%)といわれている。

 

補聴器事業を分離独立

 

ドイツSiemens社は、世界最大手の一角を占める補聴器事業を分離し、2015年2~3月に株式上場すると発表した。

日本法人のシーメンス ヒヤリング インスツルメンツが2014年8月29日に東京都内で開催した事業説明会で、Roger Radke氏(Siemens社 Audiology Group, CEO)が明らかにした。

Siemens本体のビジネスとは性質が異なる補聴器事業を独立させ、上場することで、市場からの資金調達力も高める狙い。
Siemens社は、ここ数年で、BtoC事業を相次いで分離し、本体としては、BtoB事業に注力する戦略を取ってきた。補聴器事業は、最後のBtoC事業と位置づけている。

また補聴器事業においては、日本をアジア太平洋地域で最も重要な市場と見なしており、高齢化に伴う補聴器市場の成長見込みに加え、平均販売単価が高い市場であること、最先端のエレクトロニクス製品の発信地であることなどをその理由に挙げた。

海外では、補聴器を両耳に装着するケースが多いが、日本では片耳だけの装着が多く、両耳装着率が、欧米で60~80%という状況に比べ、日本では40%弱にとどまる。
10年前に米国での両耳装着率が60%が、現在80%にまで伸びたことで、日本でも両耳装着を啓蒙していくことで、同様のシェアを見込んでいる。

2014年秋には、両耳装着時のメリットが大きい「画期的な新製品」を欧米市場で投入し、次に日本市場を狙うという。

 

国内補聴器市場の動向

 

国内の補聴器市場は現状で年間約52万台といわれる。

パイオニアは、軽度~中等度の難聴者用の耳かけ型デジタル補聴器を7万円代で売り出し、前方からの人の声を聞き取りやすくするスピーチフォーカス機能や、利用シーンに応じて、「会話モード」、広い周波数帯域で増幅する「テレビモード」、風きり音などの周波数帯域を減衰させる「お出かけモード」に切り替え可能な機能を搭載している。

さらに、本体表面だけでなく内部部品にまで撥水コーティングを施し、汗や湿気に強い仕様としている。

また、町の補聴器屋さんとして、補聴器を扱っている店舗もあるが、最近は出張補聴器店も増えている。
訪問医療や、訪問介護と同様に、お客様の元を訪問することで、販売のみでなく、その後のメンテナンスも可能だ。

実際に生活する場面でのフィッティングによって、日々の生活の中での補聴器の不満を軽減できる。

 

訪問店舗やネット店舗の可能性も大きい

 

たとえば、家の中でテレビを視聴する際に、台所の水音を補聴器が拾ってしまい、逆に不快になったり、パチンコ店に出入りする業者のお客様が、補聴器を着けた時の方が店内の騒音が静かになるといった、実態に添った商品の提供も可能になる。

さらに、店舗の設備をすべて車内に積み込んだ移動型補聴器店として活躍する個人事業主は、補聴器にとって必需品の電池のシステム管理をはじめ、お客様から重宝がられると共に、電池を届ける仕事を管理できるようにしたという。

これまでは、お客様からの連絡を受けて、電池が無くなると、すぐに電池を届けなければならなかったが、個々への対応を行うことで、その生活の中に入り込み、ライフパターンを知ることができるため、同じ補聴器を同じように利用しているお客様の使用パターン(電池の種類と購入パック数等を打ち込み、過去の電池切れの期間を計算する)を、コンピューターシステムを導入し管理することで、お客様にも喜ばれ、提供側も無駄がなくなるというメリットがある。

日本で昔からあった三河屋方式ともいうべき、家庭を訪問して商品を届ける方法の便利なシステム化ともいえる。

 

ビジネスプロデューサーの狙い

 

シーメンス社のように、BtoC事業において、日本の個人事業主のような細かいホスピタリティとが結びついたビジネスモデルを創り上げることは、ビジネスプロデューサーには、御手の物といえる。

また、医療の分野では、不満や苦情も命取りになりかねないこともあるだけに、そのビジネスモデルにも細心の注意が必要となってくる。

補聴器に関しては、高齢者の方は、若い頃の耳の聞こえを求める人も多く、それがトラブルの原因にもなるという。
それだけに、「50年前の耳は取り戻せません。生活に不自由な今を、生活に不自由がなかった時点に戻すためのツールです」といった、使う側への教育も必要となる。

こうした三者間が、提供価値に相応しい気持ちのよいお金の流れを生み出すビジネスを創り出すのが、ビジネスプロデューサーのひとつの役割でもある。

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