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キャラクターをコンテンツで終わらせるのか、ビジネスにするのか?

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島根県の観光キャラクター「しまねっこ」が、島根県出雲市の水田に田んぼアートとして出現し話題になっている。

地元JAいずも西部営農センター(出雲市)の企画で、農業や稲作に興味を持ってもらおうと、出雲大社の東約3キロにある田んぼで、地元小学校の児童や幼稚園の園児約40人が5月に4種類の苗を植え、稲穂の色の違いを生かしてアートを描いた。

しまねっこは神社をモチーフにした帽子をかぶり、観光客を呼び寄せる「招き猫」のイメージ。体の黄色や、目と輪郭の黒は2種類の古代米で表現し、周囲の緑は地元産米。

9月上旬までに別の古代米も育ち、神社の帽子や頰が赤く染まり完成予定とのこと。
田んぼアートの近くには高さ約3mの足場をつくり、上からも見えるようにした。 

 

日本はキャラクター信仰国?

 

日本はキャラクターグッズの生産大国であり、たくさんの可愛いものに溢れている。海外からやってきた人は、日本に着くと、空港に降り立った瞬間から、まずキャラクターにあふれた風土に驚くと言う。

こうしたキャラクターを使って地方自治体が広告宣伝を行う理由は、宗教の普及と似ていて、儀式やキャラクターを用いて、そのキャラクター広めていくところにあるという。

日本人は古来からの信仰アニミズムがあり「万物全てに魂が宿る」と、身の回りの物に、簡単に感情的に同化して人間化しやすい文化がある。
ソフトバンクの犬を擬人化したり、産業用ロボットにまで人の名前を付けるということは、他国の人からは理解しがたいという声も聞かれる。

2013年のゆるキャラグランプリには、1580体がエントリーし、1743万533票の投票数があった。
しかし、こうしたご当地キャラを、Googleトレンドの検索キーワードで調べると、グランプリを取ったキャラクターではないキャラクターが上位検索されていたりと、すでに形骸化しはじめていることがうかがえる。

 

サンリオのビジネスモデル

 

キャラクターというコンテンツのみで勝負をするのではなく、キャラクターをライセンスビジネスにして成功したのがサンリオだ。

サンリオは、1960年の創業で、身近な人へのプレゼント交換によるコミュニケーションを媒介する「ソーシャル・コミュニケーション・ビジネス」」と名付け、様々な事業を展開してきた。

そして、その後、出版、映画等、全天候型サンリオピューロランドのエンターテインメント事業にも広げたり、年代等のターゲット別に店舗を展開したり、各地の名を知られないような土産物に、みんなの知ってるキティちゃんを組み合わせることで、名産物として全国に知らしめたり、人形焼もキティちゃんになることで、売上げを伸ばしたりと実績を伴ったロイヤリティビジネスを世界で展開している。

営業利益率は、2011年3月期の19.6%から、2014年3月期には27.3%と上昇している。これは、ライセンス収入率の増加によるもので、ライセンス収入率は2011年3月期の35.1%から2014年3月期の45.4%と割合が大きく増大し、特に海外でのライセンス事業が中国、香港を中心に伸びている。

サンリオは、現地法人のデザイナー、あるいはクライアントの要望に応じて、デザインを変更することを容認し、しかも、その提案は、殆どが受け入れられ、同様のキャラクターのロイヤリティビジネスを行うディズニー等のキャラクター管理が非常に厳格なのと比較すると、変更したいデザインを柔軟に認めてくれるキティに対する取組意欲は当然高くなる。

サンリオのキャラクター展開する国はすでに100カ国以上、アイテムは5万点を超えている。

2014年、決算発表時の中期経営計画の説明で、店舗ベースの小売事業を柱に据える他、今年秋に上海にテーマパークを開設するなど、従来のライセンス事業中心の中期戦略の転換、アジア重視の戦略を打ち出した。

かつて、販売で一定の収益を出していたサンリオが、ロイヤリティビジネスへとビジネスモデルを転換し成功を納めた。
今回のサンリオの中期戦略の転換は投資家にとってネガティヴサプライズとして受け入れられた可能性があるだろうが。サンリオは、キャラクターをコンテンツビジネスとしてだけでない、次のステップへと進んだのかもしれない。

 

ビジネスプロデューサーは同じところに留まってはいない

 

キャラクターというコンテンツを、どうビジネスにもっていくか・・・が、問われている。

ご当地キャラの地域活性化で終わらせない、次なるステップを生み出せない地方に、ビジネスプロデューサーの存在は大きな力になることだろう。

(画像:トロまる@SNchan様より)

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