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海洋深層水利用の活アワビ保管をどう生かす?日米のビジネス視点の違い

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高級食材として有名なアワビ。

札幌市中央卸市場は、隣接する岩内町と共同で、同町で採水された海洋深層水の水槽で活アワビを保管する実験を開始した。
岩内の沖7.8㎞地点の水深300mからくみ上げている深層水で、一年を通し約5度という低温で安定しており、細菌数も表層と比較して100分の1という。

卸市場に、海洋深層水と海水の2つの水槽を使い、細菌の数、アワビの健康状態や味の違いなどを測定する予定だという。

活アワビの水槽には、1日約1トンの海水がつぎ足されている。
汚染が進まない海洋深層水によって、コスト削減につながる可能性が期待されている。

一方、ハワイ島にあるビッグアイランド・アバロニ社は、1999年に日本から天然のエゾアワビの母貝を取り寄せ、コナ近海、深さ915メートルのピュアな海洋深層水を使い、「コナ・アバロニ」のブランドで最高級品質のエゾアワビを養殖している。

人工飼料は一切使わずに育てられたアワビは、天然のものと比べてもまったく遜色ない一級品で、一流日本料理店、寿司店、アラン・ウォンズやロイズなど、ハワイを代表する有名レストランでも使われている。

ハワイ島を訪れる観光客のため、平日2回の養殖見学ツアーを開催し、ハワイ島滞在中には地元の人々同様に、直売店に気軽に立ち寄って、アワビが購入できる。
また、コナ空港が近いため、出発前に立ち寄れば、そのまま活アワビをお土産として持ち帰ることもできる。

そのために、フレッシュなアワビを真空パックにして高熱処理をし、常温で保存できるお土産アイテムを作り、直売店をはじめ、ABCストア、シロキヤなどの便利なロケーションも兼ね備えている。

2014年3月には、ホノルルのアラモアナセンターに「KONA ABALONE」直営店がオープンし、さらに観光客へのブランドを高めている。

 

ビジネスプロデューサーは、どこを見る?

 

海洋深層水を使ったアワビ、サザエといった魚介類の保管は、日本でも各地で行われ、天然モノに負けない美味しさである。

しかし、日本では、ただ「天然モノに負けない美味しさ」や、「海水と比較して・・・」といった事実を伝えてはいても、それを、どうブランド化していくかという視点に欠けていることが惜しまれる。

ビッグアイランド・アバロニ社は、日本のアワビの美味しさに目をつけ、ハワイで養殖などできないと思われていたアワビを、コナの海洋深層水を使うことで、母貝の美味しさを生かしたアワビを生育させた。

アワビそのものも高級であるが、さらに、日本のアワビを欲しがる、一流日本料理店、寿司店、アラン・ウォンズやロイズなど、ハワイを代表する有名レストランに卸し、「コナ・アバロニ」を最高級品質のエゾアワビとして、ブランド化させ、一方で、日常から離れ、ハワイで余暇を楽しむ旅行客に、観光という贈り物に、「お土産」としてのアワビ「コナ・アバロニ」販売を行い、互いにGIFTし合っている。
こうして、売上げを伸ばし、会社そのもののブランド価値も上がり、お土産には、「ビッグアイランド・アバロニ」のロゴ入りTシャツやその他のグッズも販売されている。

さらに、アメリカのコンビニともいえる「ABCストア」、「シロキヤ」など、街中で気軽に購入できる商品として、真空パックで高熱処理をし、常温で保存できるようにしたお土産アイテムを作ったり、ハワイに行けば、必ず観光客が立ち寄るアラモアナショッピングセンターへの出店など、同様の技術から生まれた商品を、どう売っていくかという視点をもって行っている。

日本でしか生育できないといわれたものを、常夏のハワイで育てたら・・・という、その発想から、ビジネスモデルを創り上げるために、どのように最初の壁を越えていくかを考え続けるのが、ビジネスプロデューサーであろう。

どの地域でも、市場の存続が危ぶまれている。
札幌市中央卸市場のこの実験を、日本の各地に潜んでいるビジネスプロデューサーは、どう、料理するのだろうか。

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