ZERO CARBON FOOD 社が1万平方メートルの地下農園で野菜を生産
ゼロ・カーボン・フード社はクラウドファンディング・サイト「Crowdcube」で、資金調達をして、夏には「現在使われていないロンドンの地下スペースを活用し、LED照明を使った水耕法による葉物野菜やハーブ、小型の野菜の栽培を行ない、最小限の二酸化炭素排出量で新鮮な素材を生産」し、出荷する予定だ。
第二次世界大戦時の廃墟となっていたロンドンの地下防空壕を使い、ラディッシュやからし菜、小豆苗などの野菜が栽培されている。
栽培方法は、Zero Carbon Food(ゼロ・カーボン・フード)社のリチャード・バラーフ氏とスティーブン・ドリング氏が、三層構造の栽培台、水循環システム、LED照明を用いて、地下の温帯環境と湿度が栽培にもっとも適した状態に保たれるシステムを考案した。
2050年までに、世界は20億人が新たに増加すると予測され、その人間たちを養うには、現在、我々人間が得ている、動物由来製品のタンパク質約20%を、5%にまで落とす必要があるという。
ストックホルム国際水協会(Stockholm International Water Institute、SIWI)のMalik Falkenmark氏らの報告書によると、現在の勢いのまま西欧化した食生活に切り替われば、2050年の予測人口90億人の食糧を生産するに十分な水は不足するという。
こうした、水不足、食糧不足を前提に、その克服のために、何年もの準備期間を経て、およそ1万平方メートルの農園が今年3月、本格稼働を開始する。
出荷されるのは、ラディッシュやからし菜、小豆苗、ブロッコリー、ニラ、赤筋ソレル(別名:ルメックス)、コリアンダー、バジル。
地上の温室ではなく、地下で栽培する利点は、気温が一定しているためだという。
また、天候に左右されることもなく、水も循環型で、エネルギー消費は非常に少なくて済む。
水耕栽培というと専門技術が必要に思えるが、実際はそうではなく、栽培方法として、種をたくさん播いた栽培台を水でいっぱいにし、あふれた水はタンクへといったん引いていき、しばらくすると栽培台が、再び水であふれんばかりとなるという状態を繰り返す。
クラウドファンディングで、30万ポンド(およそ5000万円)の資金獲得を目指している。
味に関しても、ミシュランガイドで2つ星を獲得したロンドン市内のレストラン「ル・ガブロッシュ」のミシェル・ルー・ジュニア氏が感嘆しているのだという。また、色合いや肉厚といった見た目も美しいという。