タクシー待ちはしなくていい?スマホでハイヤーが呼べる「ウーバー」
家から駅まで・・・という時には、タクシー会社やハイヤーに電話を入れて、迎えにきてもらうことも可能だ。
しかし、路上で、急いでいる時に限って、タクシーがつかまらなかったり、タクシー乗り場が長蛇の列・・・という時に、呼び出したらすぐに来てくれる車があったら・・・と考えたことも、一度や二度ではないだろう。
携帯で乗りたい場所を登録すると、数分で黒いセダンのハイヤーがその場所に迎えに来てくれるオンデマンド送迎サービスの「Uber(ウーバー)」は、車や運転手のクオリティの高さで、そう遠くない距離を、ゆっくりと贅沢に過ごすのに適している。
元々は、2009年、トラビス・カラニック氏が米サンフランシスコで設立したビジネスで、スマートフォンのアプリでハイヤーを呼び出し、あらかじめ登録したクレジットカードで決済できるというノーマネーサービスが特徴だ。
すでに、東京を含む世界45カ国でサービスを提供している。グーグルが2.5億ドル(252億円)を出資し、未上場でありながら株式時価総額はおよそ2兆円にのぼる。2月に米マサチューセッツ工科大が発表した「世界で最も革新的な50社」では26位に選ばれた。
Uberのビジネスモデルはユーザーがスマホ上で手配依頼すると、登録しているドライバーとユーザーを結び付け、決済もアプリ上で行うことができるサービス。料金の20%を手数料としてUberが徴収し、料金は需要に応じて対応する。
Uberのサイトでは、アプリ登録の際、初回乗車に2,000円分無料クーポンがつく。
ほとんど場合、タクシーよりも安く、ハイヤーというホスピタリティの高いサービスを受けられるので、リピートしたいと考える人が多い。
ソフトバンクのスマートフォンユーザーには、9月末まで、My SoftBank会員限定「Uber」4,000円分クーポンコードプレゼントキャンペーンを行っている。
さらにタクシーを手配する「uberTAXI」、ハイグレードタクシーを手配する「uberTAXILUX」も始まり、Uberと契約したタクシーには、Uberが支給するiPad miniと携帯電話が常備され、ユーザーからの呼び出しに対応する。
タクシー側としても、空車で「流し」をしている際に顧客を獲得できるチャンスとなるため、稼働率を引き上げる効果が期待できる。
uberTAXIは米国などですでに稼働しているが、アジアにおいては初の試みだ。uberTAXILUXは、規定のタクシー料金と迎車料金に加えて500円支払うことでトヨタクラウンロイヤルシリーズ、BMW 7シリーズ、Lexus LS、トヨタアルファード等のタクシーを選べるサービスで、Uberで初めてのサービスメニューとなる。
スマートフォンにインストールするだけで簡単にタクシーを呼べる「配車アプリ」は、スマホが急速に普及する東南アジアでも、次々と登場し、運営会社が熾烈な顧客争奪戦を繰り広げはじめている。
日本のタクシー業界は2016年にデジタル無線に完全移行させるという国からの指導が決定しているが、こうしたタクシー無線のデジタル化は、GPS機能やカードリーダーも含めると、イニシャルコストは一車あたり100万円ほどかかるという。
スマートフォンやタブレットを利用することで、こうした初期投資コストや、地図更新等のランニングコストも抑えられる。
しかも、アナログでの電話等での配車受付にかかっていた人件費と時間も縮小でき、顧客にすれば待ち時間の短縮にもなる。
Uberは現在、東京都心部で黒塗りハイヤーの配車サービスを行なっているが、料金は基本料金103円に時間料金が1分ごとに67円、距離料金が1kmごとに308円加算され、最低料金が823円、キャンセル料が1029円となっている。
通常は普通のタクシーより2~3割ほど高くなるが、距離が2割短くなって計算される深夜割増料金の時間帯だと、深夜でも料金が変動しないUberの方が安くなるケースが多い。
海外では、自動車を持っている一般人もUberに登録してタクシー・ハイヤーとして営業できる国が多いが、日本では、タクシー・ハイヤー事業を行なう場合、国土交通大臣から一般乗用旅客自動車運送事業の許可を得なければならない。
タクシーやハイヤーの運転手になるためには、法人は第2種運転免許の取得、個人はさらに10年以上のタクシーやバスの運転手経験などが必要となる。
「uberTAXI」、「uberTAXILUX」に提携するタクシー会社や個人タクシーがどれだけ増えるか、求められるホスピタリティとスマホやタブレットの使用方法の理解がどれだけ可能かという運転手個人の問題も出てくる。
海外のように自動車を持っている一般人もタクシー・ハイヤーとして営業できるようになれば、流しのタクシーが容易に拾えないような地域では非常に便利になる。
また、サラリーマンの副業として、夜や週末の空いた時間を利用して仕事をすることで収入が増え、リタイアした高齢者が収入を得る手段にもなるだろう。
介護において、家族の負担を減らすために、お年寄りに気軽に移動してもらう介護タクシーは、介護事業者やタクシー会社、NPO法人など多様化し、料金設定もそれぞれに決めており、介護保険が適用される場合もある。
介護保険サービスで足りない部分を補う民間業者の家事代行サービスでは、家の掃除や買い物、病院やスーパーに行く時の付き添いなどのサービスを行なっているところや、配食サービスを、民間の給食会社や弁当会社、コンビニなどが展開しており、糖尿病など特定疾病要介護者向けの治療食を提供したりもしている。
配車と共に、他の事業との組み合わせによって、利権や既成のルールを超えた方法を生み出すことも、ビジネスプロデューサーの役目でもある。
人の移動を扱うサービスは、地域によっての事情に合わせて、自治体レベルで認可していく柔軟さが必要になるのではないだろうか。
国が認可したタクシー運転手が、乗客にとって気持ちの良い移動手段でないことも多い。
逆に、タクシー強盗などの危険に常に晒されている運転手にとって、アプリ利用のノーマネーでの支払いが可能であることで、タクシー強盗のリスクも軽減される。
Uberが顧客のために、信頼できるサービス提供者かどうか判断する責任を負えば、顧客にとっても、運転手にとっても、より良いマッチングが可能となる。
ビジネスプロデューサーは、常に、誰かが騙されたり、危険な目に遭わせないために、人類にとって安全で安心できるビジネスモデルを創り上げることを使命とする。
インターネットと組み合わせることにより様々な新しいビジネスが生み出せる可能性をもつ現代に、SNSを上手に使って、最適な個人と個人を繋ぐことで、ビジネスチャンスが広がる。
特に、ホスピタリティという日本人の得意とするもてなしのビジネスには、既成を打破した柔軟なビジネスモデルを創り上げるビジネスプロデューサーがなくてはならない存在なのだ。
(PHOTO Uber HP)