大企業の前では無力なのか!TwitpicがTwitterから撤退
いまでこそ、Twitterは、画像や動画の投稿が可能になっているが、当初のTwitterは、140文字というつぶやきを、独りごとのようにテキストベースで書き連ねるだけのものだった。
2008年に発表されたTwitpicは、黎明期にあったTwitterに、画像投稿を可能にし、Twitterの楽しみを増やしたアプリケーションであった。
2011年6月にTwitter本家が画像アップロードの機能を追加するまで、画像アップロード系のサードパーティでは、最もポピュラーなサービスとして多くのユーザーに親しまれ、公式クライアントの画像アップロード対応のリリース直前、2011年5月末にカナダのソーシャルメディア分析会社Sysomosが発表した調査結果では、Twitpic、Yfrog、Instagramなどのメジャーな画像リンク付ツイートで使用されたサービスのシェア状況では、最も多いのはTwitPicの45.7%だった。Yfrog(29.3%)、Lockerz(17.4%)、Instagram(5.2%)と続く半数近い比率で他サービスを圧倒していた。
Twitpicのノア・エベレットCEOは公式ブログで「数週間前、米Twitterから(Twitpicの)商標登録出願を取り消さなければAPIへの接続を失うことになると通告された。われわれは非常にショックを受けた。Twitpicは2008年からサービスを提供しており、米特許商標局(USPTO)への商標登録出願は2009年から行っているのだから」と説明した。
Twitpicの商標登録出願の申し立ては2013年9月に却下されていることが、USPTOのデータベースに残されている。
「われわれはTwitterのような大企業ではなく、ブランドを守るための豊富なリソースを持ち合わせていないので、Twitpicをシャットダウンする決心をした」(エベレット氏)
一方で、Twitterは複数のメディアに対し、以下のような声明を送った。
「Twitpicが終了するのは残念だ。われわれはサードパーティー開発者に対し、Twitpicが数年にわたって提供してきたようなTwitter向けサービスを構築することを推奨している。また、われわれは(Twitpicに対し)Twitpicという名前を残して運営を続けられる可能性をはっきり示した。無論われわれはTwitterのブランドを守る必要があり、ブランドには関連する登録商標も含まれる」。
Twitterの「ブランドガイドライン」では、製品名に「Twitter」や「Tweet」を含めないこと(Tweetは条件付き)、それらに類するものを使用した商標の登録を申請しないことを求めている。
Twitterは6月6日、企業ロゴを刷新し、それまでの丸みを帯びたフォントの「twitter」と小鳥(ラリー・バードという名前がついている)を並べたロゴから、小鳥だけのロゴとなった。
Twitterと言えば鳥、鳥と言えばTwitterといえるほどにイメージが定着し、テキストは必要なくなったという判断からだ。
デザインも変更され、ユーザーの興味がネットワークを通じてコミュニティーとつながっていることを表す3つの円で構成され、上に向かって飛翔する姿は自由、希望、無限の可能性の象徴になっているという。
ロゴ使用のガイドラインでは、旧ロゴ(小文字のtのものなど)の使用や新ロゴにフキダシを追加することなどを禁じた。
クラウドでデータを保管することが当たり前になった現在、ユーザーとして、そのサービスがプラットフォーム側の都合で、いつ停止されるか分からないリスクや、今回のように、サードパーティとして、開発したアプリケーションの利用を停止させられるというリスクは大きい。
ユーザーとしては、データを別々のクラウドサービスに置いておくことも手立てであろう。
一度に複数のクラウドサービスが停止する可能性は低いが、2つのクラウドサービスと、手元データの3つの保護を行っておく心づもりも重要だろう。
ビジネスプロデューサーは、自分の事業よりも、他人や他者のビジネスを上手く組み合わせて(JBPA-一般社団法人日本ビジネスプロデューサー協会では、ビジネスプロデューサーを「ビジネスプロデューサーとは、既成概念を打破する発想力を持ち、異なる価値観や才能あふれる専門分野の人たちを有機的に関連づけ調整する指導者」と定義する)新価値を生み出すプロジェクトや事業を興す。
そうした中で、他社や他者の車に乗ったり、使わざるを得ないこともある。
商標や特許は、国ごとに取得するための独自のクセのようなものもあるし、国際法に強い人材が少ない日本では、世界の大企業と闘うためには、国内だけにとどまらない、世界的な分野での争いにも物怖じしない知識と専門性をもった専門家との連携も必須である。
さらに、柔よく剛を制すという日本のことわざではないが、大企業相手に隙のない手立てをしておくということも、自らの身を守ることにもなるだろう。
おまけの事例をあげておこう。
TWITTERアカウント名が商標権侵害で訴えられそうになった「あのん」氏の例から、今後も、こういう事例が国を超えて起こることも増えると予想される。
あのん(anon)氏のブログ記事 によると、Anonymizer, Inc.から、同氏の使用していたアカウント名 @anonymizer が同社の商標権を侵害しているとして警告があり、同氏は同社から提示された条件に基づきアカウント名を変更することに同意した。
これには次のような理由があったからだ。2011年1月25日、僕の元に1通のメールが届いた。
その内容は、普段ツイッターで利用していたアカウント名 @anonymizer が、米国Anonymizer, Inc.の商標権を侵害していると言う内容だった。
差出人名は Anonymizer社の社長、Bill Unrue氏。
今回は、あのん氏がAnonymizer社の提示した条件を受け入れたという形で、大きな争いにはならなかった。
しかし、一般人はもちろん、企業間でも同様の訴訟騒ぎは、これまでにも数多く起きている。
訴訟に免疫の薄い日本人や日本企業にとっては、海外でのビジネスに精通している人脈は、普段から作っておくべきであろう。
9月24日は、「アジアこそビジネスプロデューサーの活躍の場」というテーマで、ベトナムに日本物産館を招致した株式会社ブレインワークス取締役大西信次氏が、アジアビジネスの醍醐味を、知的に講演する。
ビジネスプロデューサーは、狭い国内で、自分のビジネスにしか目を向けられないようなことは出来ない性分だ。
一生を自らと社会と地球の成長のために(決して進化のためではなく、むしろビジネスの深化を目指す)ビジネスプロデューサーは時間を使う。