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ほんとうに欲しいものを仲間と一緒に安く購入できるMassdrop

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コミュニティの力を利用したディスカウント共同購入システム

 

ネットの共同購入で、定価よりも安く買えるというビジネスを良くみかける。

Massdropは、グルーポンやネットプライスなどと同様の共同購入の仕組みのように見えるが、サイトの運営側が仕入れた商品がディスカウントの対象となるのではなく、ユーザーたちが対象となる商品をリクエストできる点が異なり、サイト内にあるコミュニティを利用し、皆で一緒に買いたい商品を絞るための投票を行い、購入希望のアイテムを決定することができる。

ユーザから200以上の支持を得ると、Massdropが、商品販売者に特別価格での購入を直接交渉してくれる仕組みだ。

MassdropはSteve El-Hageが、2012年7月に米サンフランシスコに設立した。翌年9月には140万ドル(約1億4000万円)の資金調達に成功。今後、さらなる取引の増加が見込まれ注目を集めているスタートアップだ。

 

Massdropのシステム

 

Massdropは、ディスカウントして欲しい商品の提案を行う「VOTE」ページと、商品への投票・購入を行う「BUY」ページの二種類がある。日本でも、Massdropを利用し購入している人たちの様子がネットに掲載されている。

例えば、オープンソースのキーボード「Ergodox」のキーキャップなど、日本ではみつからないものを購入していたりする。

海外では、3Dプリンターを活用し、キーボードを製作している人(keyboard tray evolution (Flicker))の様子も見られ、まさに、コアでレアな熱狂的な趣味を持つ人たちのコミュニティが活発化する理由が理解できる。

「VOTE」ページは、ディスカウントしてほしい商品がサイト内を検索しても見つからなかった場合、ユーザーが自ら提案を行うことができる。
そして、その提案商品に投票が実施され、200以上の支持を得ると、Massdropが商品販売者にディスカウントの交渉を行う。

交渉により、ディスカウントが認可された商品が「BUY」ページに掲載される。
商品はあらかじめ値引きされた形で掲載されるのではなく、このページで再度ユーザーが投票し、その得票数によって2段階までのディスカウントが行われる。

「BUY」ページには、ユーザーからの提案商品以外に、Massdropの見立てた商品や、海外掲示板「reddit」(オバマ大統領も投稿し話題になった)などで評判になっている商品などが掲載されるケースもある。

 

自分の決めたディスカウント価格で購入できる安心感

 

たとえば、159.60ドル(約1万6000円)の商品が、40の得票で124.99ドル(約1万2500円)、80票で最安値の119.99ドル(約1万2000円)と設定され、ユーザーが「join now」のボタンを押すと、ディスカウント投票への参加の意思を示すと同時に、ディスカウントが決定された際の購入手続きを行うことができる。
投票の際に、商品情報の確認、氏名、住所、クレジットカードやPayPalの支払い情報を入力し、この商品が他のユーザーからも得票されるのを待つ。商品が必要な得票を得ない場合は、ユーザーに課金されることはないので安心だ。

ディスカウントが決定された場合、投票したユーザは必ず商品を購入しなければならない。しかし、2段階ディスカウントでは、本当は119.99ドルで購入したかったのに、得票が80に満たず124.99ドルで購入しないといけないといったケースも出てくるので、「join now」のボタンの下に用意されている「Commit to join」を押すことで、最安値での購入を希望しているのか、1回目のディスカウントに留まった場合でも購入して良いかを選択することができるようになっている。
「最安値になってはじめて購入する」という選択肢があることで、逆に、投票が上がり、売買の成立数をあげることに成功している。

 

Massdropの価値はコミュニティを活発化するユーザーが高めている

 

さらに、コミュニティを活用し、ユーザーが商品を購入しやすくなる動線を作っている。
「Discussion」ボタンを押すと、商品に対するコメントを見たり書き込んだりし、ユーザー同士が積極的に意見を交わすことができる。ここで、ディスカウント投票への参加や、新しい商品の提案といった参加への意欲が生まれ、コミュニティが盛り上がる。

このように、ユーザー同士の交流やコメントによって、商品の情報収集、ディスカウントの提案から投票までを自主的に行うことができ、ユーザーたちのニーズ先導で行われていることが、数多い共同購入サイトの中で、Massdropの価値を大きく高めている。

 

販売側のメリット

 

Massdropでは、販売側にとって、ディスカウント価格と販売数を見込むことができるというメリットがある。

Massdropの収益モデルはシンプルで、商品が売れるたびに、商品販売者に商品ごとに定められた割合(商品の種類やMassdropがかける手間によって決められている)の料金を課金するという形を採っている。

また、Massdropでは、Googleの検索ページで商品を調べても同サイトに掲載している商品ページは出てこないよう設計されていることで、Massdrop内のクローズドで、ディスカウント価格で購入できるため、ユーザーも、お得感を感じることができ、商品の販売者も、異なる価格であちこちで製品を販売しているということを一般に知られたくないという事情に配慮してのことだ。

現在、日本のメーカーは、小さな代理店を守ることなく、ネットに卸価格で販売をするところもあったり、代理店同士で価格競争となり、メーカーをつぶすようなことも起きている。

Massdropの商品販売者との長期的な関係を築きたいという考え方は、こうしたシステムにも現われていると言えるだろう。

Massdropのビジネスモデルは「大人数を活かした購買力でディスカウントを可能にする」という非常にシンプルなものだが、コミュニティによって、商品のファンを増やし、販売者との良好な関係も保つというビジネスになっている。

 

コミュニティによって支えられるMassdrop

 

とはいえ、Massdropの創業直後は投票があまり行われず、売買成立数は少なかった。創業者のスティーブ氏は、ユーザーのページ閲覧行動を解析し、ほとんどのユーザーは他のユーザーが投票を始めない限り、投票には参加しないということが分かった。

そこで、コミュニティ機能を強化し、コミュニティ上でユーザー同士が情報交換できるようにしたり、自らディスカウントして欲しい商品を提案できる機能を追加するなどして、より投票しやすい環境を作ったという。

ユーザー同士が盛んに交流が行えるしくみを取り入れたサイトの構築により、活発なコミュニケーションが発生し、現在ではredditにおいても、Massdropで商品を安く購入しようというスレッドが多く立つなど、ユーザーが率先して、Massdropに人を呼び込んでいる流れも見られるという。

 

コミュニティの力をビジネスに・・・

 

ビジネスプロデューサーは、組織という枠に収まる活動は好まないし、それではビジネスプロデューサーとしての活動は不可能になる。

とはいえど、仲間、同志、協力者、支援者は必要不可欠である。
BPAは、そうしたビジネスプロデューサーを結び付ける場でもあり、ビジネスプロデューサーの協力者、支援者を集める場でもある。

日本経済を再生するために、ビジネスプロデューサーの時代のために、一般社団法人日本ビジネスプロデューサー協会では、ビジネスプロデューサーと、ビジネスプロデューサーを目指す人たちが、毎月の定例会「BPA LIVE」にて、勉強会と交流を深めている。

次回のBPA LIVE Vol.32は「リリース型BPA LIVE」を開催する。

コミュニティの力を共に強くしていく仲間を求めて、ビジネスプロデューサーは集ってもらいたい。

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