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千葉県富津市が破たん予想

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千葉県富津市18年度に破たん状態予想を発表

 

千葉県富津市は2013~19年度の中期収支見込みを公表した。
15年度決算で、市の貯金にあたる財政調整基金が底をつくなど厳しい状況にあり、実質収支が赤字となり、18年度には「破たん状態」と判断される財政再生団体に転落する見通し。

破綻回避のため、公共サービス範囲の見直しや職員の削減などに乗り出す方針。
佐久間清治市長は「もはや従来の取り組みだけで状況を克服することは困難。行政の経営そのものを改革、実行していかなければならない」と話している。

先月29日の臨時記者会見では、「現在の財政状況は破綻寸前状態と言える。これまでの先送り体質を猛省する」と、市の幹部は述べている。

市は1999年度に「財政非常事態宣言」を出し、行財政改革に取り組んできた。2005年に宣言を解除したが、税収は落ち込む一方で、職員の人件費や福祉関係の歳出が膨らみ続けている。

 

破たんの恐れの原因は?

 

富津市議会議員の一人は、この破たんの原因には、固定費の比率が高すぎることにあるとブログで記している。

富津市は、歳入に占める市税収入の比率は50%以上あり、財政力指数は県内でも上位で、税収がたくさんあると指摘されるが、職員の人件費負担や年々増加する社会保障費(介護・生活保護費等)の負担等の固定費の比率が高すぎるという課題が、この破たん状態を招く原因という。

現在の税収面では、電力会社をはじめとする大企業からの固定資産税(償却資産分)がある程度あるが、今後、大規模な設備投資の計画が進まなければ減価償却額に比例して税収も先細りとなる。
富津市では大企業からの固定資産税の税収割合が高く、国からの交付金も年々絞られているという。

 

富津市の市民たちの本音?

 

大学生の頃に、市役所で税の部署でバイトしていた経験をもつ市民は、大半の役所の人間は働いてもいないように見受けられるという。
マニュアルを見ながら杓子定規な受け答えしかせず、市民から突っ込まれると「市民税法で決まってますから、払ってください」の一点張りで、なんの創意工夫も知識の蓄積も要らない仕事にしか見えなかったといい、「楽とまでは言わないが、あれは「仕事」じゃなくて「作業」で、バイトで十分ではないかと思う」と語る。

また、下記のような率直な市民の声もある。

富津市の先送り体質は昔からのことで、定年が近いお偉いさんは改革など一切やらない。若い部下が提案しても無視。
自分が部長や課長の時に面倒なことはしたくないという考え、反面、無駄遣いは大好き。
周辺自治体にはない広大な陸上競技場や野球場作ったり、人口に似合わない市役所庁舎建てたり、最近ではこれまた立派な消防防災センター建てたばかり。
海岸の埋め立て・企業誘致も遅すぎで、来てくれたのは東電の火力発電所だけ。
そのおかげで国からもらった電源立地交付金を、廃校間近の小学校の大規模改修に使ったのは、なんのためだったのか。

富津の位置としても、東京のベッドタウンになるには、遠すぎるし、せいぜい千葉市のベッドタウンにしかならないから先がないと思う。

 

夕張市の場合

 

日本だけでなく、世界でも財政破たんした国・都市・自治体があり、破たん目前のコミュニティが数多くある。

北海道の夕張市の破たんの結果、市民の生活は、どのようになったのかを見てみよう。

破綻すると今まで当たり前で、空気のようなものだった「行政」を嫌でも意識せざるを得ない。
夕張市はゴミの収集費が1リットルあたり2円となった。
(ちなみに、東京都でゴミ収集袋の一番高い調布市は、45リットル袋が1枚84円計算で、1リットルあたり約1.87円)

水道料金も東京の2倍程度、軽自動車の税金は自治体ごとに決められるため、夕張では破綻後に1.5倍になった。
市民税や道民税も、法律で上限があるが、ほかの自治体より上乗せされ、日本で一番高い設定になっている。
自治体の施設使用料も上がり「全国で最高の負担、最低の行政サービス」といわれた。

また、議員を18人から9人に減らし、議員報酬を40%カット、市職員を260人から約100人にまで減らし、人件費を減らしはしたが、まだ足りず、市民が負担せざるを得ない。

行政サービスの存在は辛い立場の人ほど感じやすいといわれる。体を壊して働けなった人、介護認定を受けてデイサービスを頼んだりするなど、困った時に行政を意識するからだ。

しかも、財政再生団体になった夕張市民は18年間、ただ借金を返すために暮らしていく。
全市民が借金を返すためだけに働き続けるということのむなしさと恐怖を本気で感じることのできる人間が、どれだけいるだろう。

 

他人事ではないという意識で動ける人がビジネスプロデューサー

 

高齢化の問題、東日本大震災以後の原発問題と、日本は世界でも類をみない課題先進国といえる。
日本は世界が注目すべき課題がたくさんある。世界の先進国の中でも、課題先進国である日本が注目されているのだ。

老朽化した公営住宅を新しく作り直す財政がなければ、人が住む場所、働く場所など、個人が決めるのではなく、自治体が独自に行政サービスの最適化、安全・安心のために、国道、道道沿線の便利な場所に集団移転させる「住宅再編事業」などを考えることもひとつの手段ではないだろうか。

行政サービスを効率化するためだけを訴えるのではなく、住む人のケアを考え、過去の住処以上に、未来住処を居心地よく作っていける町づくりを、借金を背負いながらも、希望を生み出す方法とはなにか。

「なぜ、今、ここにあなたは住んでいるのか?」

それは、次の世代にその場所をつなぐためなのだと、感じられるような解決策を、全国に散らばるビジネスプロデューサーに期待したい。

ビジネスプロデューサーは、世界の課題先進国である日本で、少子高齢化、財政難という世界の共通した課題を乗り越えるために、ビジネスの手法を用いたモデルを作り上げるために、前を向いて歩いている。

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