AI分野で取り残されるな!ニッポン!GoogleがJetPac社を買収。
JetPac社は、同社のウェブサイト上で、Googleのプロジェクトとして、買収されたことを発表した。
JetPac社は、公開ソーシャルトラベル·アプリケーションを制作している。
これまで、アプリを販売していたApp StoreからJetpacのアプリを削除し、9月15日までにサポートを撤退するという。
サンフランシスコに拠点を置くJetPac社は、様々なソーシャルネットワーキングサイトにある画像を使用して、市内ガイドを作成できるモバイルアプリを作成している。
今年初め、Googleは、Google史の中で最大規模の一つとなった、スマートサーモスタットや煙警報を作るNest Labsを、32億ドルで買った。
Googleは、世界の情報を整理することを目的としており、Jetpac社のデジタル画像を分析するためのソフトウェア開発力に目をつけたといえよう。
そこには、AI技術の可能性がある。AIとは、人間の大脳活動のメカニズムをコンピュータ上で再現する方法で、AI研究が始まった1950年代から「パーセプトロン」や「ニューラル・ネット」など、精巧さに欠けるといわれ、呼び名を変えつつも、研究を諦めない人たちによって、続けられてきた研究技術だ。
Googleや百度は、最先端のニューラルネットワーク技術「ディープ・ラーニング(Deep Learning)」を取り入れ始めている。他にもマイクロソフトやIBMなど巨大IT企業も、この分野の研究開発に力を入れている。
AIは大きく3つの方法に分けられる。
1つは古くからの方法で、コンピューターに、文法やシンタックスといったルールをインプットさせ、それに基づく知的処理をさせるもので「ルール・ベースのAI」などと呼ばれる。
2つ目は、ルールはほぼ無視して、大量のデータをコンピュータに読み込ませ、統計的、確率的なアプローチから知的処理を行うAIである。
ルール・ベースの古典的なAIは柔軟性に乏しく、実用化に向かないとされ、Googleの検索エンジンや機械翻訳などは、ほぼ、この統計・確率から行われている。
しかし、基本にあるのが統計と確率であるため「知能や知性とは呼べない」とする批判も多い。
つまり、コンピュータ(AI)は確率に基づいて単語と単語をつないでいるだけで、元々の文章の意味は全く理解していないわけで、今後幾ら進歩したところで本当の知能に成長することはないとされてきた。
3つ目が、ここ最近、話題となっている人間の脳のメカニズムをコンピューター上で再現する方法である。
AIという言葉そのものに当たる人工知能と呼ばれるもので、「パーセプトロン」や「ニューラル・ネット」などと呼称を変えながら研究されてきた長い歴史を持つ。
研究も絶望視されてきたが、2006年に、「ディープ・ラーニング(Deep Learning)」と呼ばれる画期的な手法が考案された。
ディープ・ラーニングとは、ニューラル・ネットの一種で、より低レベルの情報から高レベルの情報を段階的に導き出す機械学習の新方式で、多くのIT関連企業が研究開発を進めている。
コンピューターが、カラーと濃淡を表現したドットの集合である低次元の情報を段階的に引き上げていき、最終的に「あるもの」の「概念」という最も高次元の情報を獲得するまでになった。
BPA LIVE Vol.29を覚えているだろうか?
ビジネスプロデューサーのバイブルともいえるA3サイズの2枚の紙に描かれた「ビジネスプロデューサーのための3つの思考法」に、「線は点の運動から生まれ、方向が生じる」と書かれていることを・・・
面が生まれ、そこにデザイン思考が表現されるということを・・・
BPA MEMBERS限定のビデオをご覧いただくと理解いただけると思うが、その中で、ビジネスプロデューサーたちのメンターである伊藤淳理事長が、「その面はレイヤーの重なりによって、人の目に写るんです。」と言われた言葉が、AIの研究・技術と全く同質のことのように思われてならない。
Googleは、8月6日に、元AppleのSiri担当マネジャーが立ち上げたアシスタント機能付きメッセージングアプリ「Emu」を手掛ける米新興企業Tinker Squareを買収した。
「Emu」もまた、現在、App Storeで提供しているEmuアプリを25日に削除する。現行ユーザーはそれ以降、メッセージのやりとりやダウンロードができなくなる。
Emuは、ユーザーがやりとりするメッセージを機械学習や自然言語処理などの人工知能(AI)技術で解析し、関連する情報を表示したり予定の追加をサポートするメッセージングアプリ。例えば会話でディナーの相談をするとスケジュールやレストランのYelpでのレビューが確認できたり、映画のタイトルを入力すると近くの映画館のスケジュールが表示されたりする。
サンフランシスコに拠点を置くJetPacは、米国のコースラ·ベンチャーズなどのベンチャーキャピタルから240万ドル調達して、ジュリアン·グリーン最高経営責任者(CEO)と、ピート・ウォーデン最高技術責任者(CTO)によって設立された。
ピート・ウォーデン氏は1990年代から、コンピューターに「物を識別させること」の研究に取り組んできた。ようやく、ディープ・ラーニング(深層学習)と呼ばれる人工知能分野のおかげで、実際に使えるシステムの誕生を予測させる。
ウォーデン氏はアップルの元エンジニアで、学部生時代にはマシン・ヴィジョンを研究し、Jetpac社を設立し、そこでディープ・ラーニングを採用した。
毎日、ネットに写真やビデオがアップロードされるが、その手がかりのない画像を解析できるサービスを7提供している。
JetPacは、スタートアップで、シティ(都市・街)のガイドを作成するにあたり、データとして、Facebookの「Instagram」のサービスでソーシャルメディアで公開されている写真から収集された情報から、食品、ファッション、人物を分析し、街のガイドブックを参加者が創り上げていくというものだ。例えば、「ヒゲを生やしている客が多い(=ヒップな人が多い)レストラン」や、「パティオのあるレストラン」等といった具合だ。
ウォーデン氏は、さらに「DeepBelief」という無料の開発者キットを提供し、自分の手法を世界全体と共有している。目指すのは、すべてのプログラマーに、単純な画像を識別できるモバイルアプリを簡単につくる方法を提供することだ。
DeepBeliefでは、スマートフォン、タブレット、小型コンピューター「Raspberry Pi」上で動く。
システムに大量の画像を見せることで、パターン学習させ、この画像は、猫ですといった、識別されたもののメッセージをアウトプットさせる。
ウォーデン氏はこの技術から、たとえば猫だけを通すペット用ドアや、公共空間を通る人やクルマの数を自動で数えられるシステムなどが作れるという。
無料で提供する理由に、ウォーデン氏は、AI技術の進歩には、多くの時間と実験が必要で、そのために、モデル(型)となるものを、誰もが届くところに提供し、自由に使いこなす中で、進化してもらいたいという説明をしてる。
脳の発達には、シナプスと呼ぶ配線が、つながっていくことが不可欠である。同様に、AI技術も、ビジネスプロデューサーとしての成長にも、型を使い倒して、自ら生み出す力が必要となる。
世界に後れを取ってしまわないためにも、これからに求められるものを、深層学習を、我々がしていかねばならないのではないだろうか。