電子商取引及び情報財取引等に関する準則改訂
経済産業省が、8月9日、電子商取引及び情報財取引等に関する準則を改訂した。
電子商取引や情報財取引等の実務、関連する技術の動向、国内外のルール整備の状況等に応じて、経済産業省では、随時、改訂を行ってきた。
産業構造審議会商務流通情報分科会情報経済小委員会IT利活用ビジネスに関するルール整備ワーキンググループにおいて得られた検討結果を踏まえて改訂された。
ビジネスプロデューサーにとっても、ネットでの商取引について、ルールを知っておくことは重要だ。
知らない間に、法的な違反を犯しているということもある。
改訂内容は、消費者の操作ミスによる錯誤を未成年者による意思表示を一部修正し、情報財の取引等に関して、デジタルコンテンツ、デジタルコンテンツのインターネットでの提供等における法律問題、デジタルコンテンツ提供サービス終了後のデジタルコンテンツの利用、電子出版物の再配信を行う義務、オンラインゲームにおけるゲーム内アイテムに関する権利関係を新規追加した。
BtoCの電子契約においては、最終確認画面を設置するケースが多くを占めている。
しかし、少ない操作回数で契約を締結させるため、最終確認画面を明示的に表示しない事例も生じている。
平成26年改訂では、最終確認画面を表示しない場合について電子契約法第3条ただし書の「確認を求める措置」として十分であるかに関する追記を行った。
確認を求める措置」として入力画面とは別に「最終確認画面」を設けることは必須ではないが、「最終確認画面」を設ける事例が一般化し、入力画面上のボタンのクリックは最終的な意思表示ではないと消費者が思い込む可能性が高まっていることに鑑みて、「最終確認画面」を設けない場合には、消費者が入力した情報を全て表示して消費者が意思表示の内容を確実に確認できるようにするとともに、「ボタンをクリックすることで最終的な意思表示となること」を消費者に明瞭に表示する必要があると考えられるとされた。
意思の表明の有無については、事業者が主張・立証責任を負う。
近年のオンラインゲーム等の普及に伴って未成年者による高額利用トラブルが増加していることを受け、未成年者のうち幼年者等の意思無能力者が申込みを行った場合には契約が無効となることが追記された。
未成年が法定代理人(親権者)の同意を得ずに行った契約は、原則として取消が可能であり、インターネット取引の場合でも同様。
ただし、民法21条にあるように、未成年が「成年であると偽って(詐術を用いて)」契約を行った場合には取消はできない。
インターネット事業者は「未成年者は親権者の同意が必要である」ことを申し込み画面上で明確に警告した上で、申込者に生年月日の入力を求める等の確認措置をとる必要がある。単に「20歳以上」というボタンを選択させるだけでは確認措置をとったことにはならず、未成年の詐術にはあたらないとする。
携帯電話端末を用いた電子契約では、携帯電話の契約者が親権者であっても、未成年者がゲーム等のコンテンツを利用する場合等においては、コンテンツを提供する事業者はサービスの申込み時に成年者であることの確認もしくは親権者の同意の確認を行うことが求められる。
コンテンツ提供事業者がこの確認措置を怠り、利用者が未成年者であった場合は、未成年者が契約取消を主張した時は、その取消は有効とされる。
ベネッセのデータベースからの個人情報流出騒動のように、インターネットを通じて利用者から直接個人情報を取得して、これをデータベース化して利用するケースが増えてきている。
これらは、利用者が個人情報を取得されることを認識できない方法で利用履歴等を取得される場合も出てきている。
個人情報保護法第15条では、「事業者は個人情報を取り扱うにあたっては、その利用目的をできる限り特定しなければならない。」とし、同法第18条では個人情報を取得する場合は、本人から直接取得する場合は利用目的を明示し、それ以外の方法で取得した場合は利用目的を通知または公表しなければならないと定めている。
クッキーを用いて利用者のウェブサイトの利用履歴を収集する方法や、特定の個人が識別されない情報収集方法は、同法の利用目的明示義務や通知・公表義務は及ばない。が、利用履歴を会員登録などの特定の個人を識別することができる情報と照合してマーケティング等に利用する場合には、その旨を利用者に対してわかりやすい形で明示していなければ同法第18条に違反するものとされる可能性がある。
同法第17条では「事業者は偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない」と定める。以下のようなケースは不正の手段とみなされる可能性も出てくる。
(1)個人情報を取得しようとしていることや取得の目的を偽って個人情報を取得すること。
(2)個人情報を取得していることを本人に対して隠蔽して本人から個人情報を取得すること。
(3)情報検索サイト事業者が利用目的を明示せず、検索履歴の情報と特定個人を識別できる情報を結合して利用する場合。
(4)通販サイト事業者が利用目的を明示せず、サイト閲覧履歴の情報と商品購入の際の特定個人を識別できる情報を結合して利用する場合。
(5)スパイウェアによる本人の同意を得ない個人情報の収集。
特に小学生等に対して、個人情報の取得が違法とされる可能性がある例が上げられている。
・小学生を対象としたウェブサイトで、家庭の経済状況を推知してマーケティングに利用する目的で、且つその意図を小学生に理解できるような形で説明することなく、懸賞プレゼントへの応募のためのアンケートなどの名目で、小遣金額、塾・習い事、通学している学校名などの情報を収集する行為
◇ 電子商取引及び情報財取引等に関する準則 (経済産業省HPより)
http://www.meti.go.jp/press/2014/08/20140808003/20140808003-3.pdf