特許権を守るにもグローバル戦略が不可欠になってきた
京セラは10日、韓国の財閥ハンファ・グループの日本法人、ハンファQセルズジャパン(東京)に、太陽電池の発電効率を高める技術の特許権を侵害されたとして、損害賠償を求め、東京地裁に提訴したと発表した。請求額は非公表。
京セラは、ハンファ社に対し、特許侵害している製品の販売停止を求めてきたが、交渉が進展しなかったため、提訴に踏み切った。日本で類似品を販売する他の太陽電池メーカーや販売会社数社とも、提訴を視野に交渉中。
京セラが特許侵害を主張しているのは、2013年3月に国内取得特許権の「3本バスバー電極構造」。
太陽電池の電極の数や幅、配置を最適化して電気抵抗を低減し、太陽光が当たる面積を増やし、発電効率を向上させたもの。
特許侵害で、海外の企業との訴訟が増えてきている。
東芝も、6月に、主力半導体メモリー「NAND型フラッシュメモリー」の特許を侵害しているとして、パワーチップテクノロジーなど台湾メーカー4社を台湾知的財産裁判所に提訴した。
政府も、特許審査の期間を大幅に短縮する方針を打ち出し、申請してから約30か月かかっていた審査期間を、2023年度までに半分以下の14か月以内にするという数値目標を公表。
特許庁発表の、日本での申請から特許権取得までの期間は2012年で平均29.6か月。
欧州は平均36.2か月。米国は平均31.7か月。韓国は21.6か月。中国は22.6か月。
特許審査期間が短縮されることで、企業は関連事業の開始が早まり、投資回収も早くはじめられる。グローバル化の進展の中で、各国企業は初めにどの国に出願したら得策かを慎重に検討しているとされ、各国政府にとっては審査期間の短縮化が産業政策上も重要だ。
「世界最高の知的財産立国」を目標に、茂木敏充経済産業相は「世界最速かつ最高品質の知財システムを構築したい」と強調している。
世界知的所有権機関(WIPO)が発表した特許協力条約(PCT)に基づく2013年の国際特許出願件数(速報値)では、企業別ではパナソニックが2881件。3年ぶりに首位となった。