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ロボットに負けない人間の価値

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中国の人手不足などを背景に拡大するロボット供給に対し、川崎重工業は中国江蘇省蘇州市のロボット工場で生産する品目の拡充に乗り出すことを発表した。

ロボットや人工知能(AI)の進化は恐るべしスピードといえる。
人間の生活をより便利にする一方で、ロボットの進化は人間の仕事を奪うことは明らかだ。

たとえロボットに仕事が奪われても、技術の進化に伴って生み出される新しい産業によって、多くの雇用が生まれるので、人間の仕事はなくならないという楽観的な声もある。

一方で、大部分の仕事がロボットに取って代わられ、雇用の減少、所得格差の広がり、社会秩序の荒廃を強く懸念する声もある。

では、ロボットに負けない人間の仕事とはどのようなものであろうか?

すでに、町中では、銀行のATM、家庭や飲食店の食洗器、寿司屋のすしロボット、セルフサービスのレジ、ロボット掃除機などが当たり前の日常だ。
人が手作業で行うのが主であったぶどう畑でも働くロボットが開発され、その価格は日本円にして250万円程。
1人を雇用する人件費1年分よりも安い。点検も年1度で済むという。
ジャーナリストの代わりに記事を自動的に書いてくれる「ロボット記者」プログラムや、自宅警備ロボなども次々誕生している。

しかも、こうした進化のスピードに、人間の再教育は対応できず、学んでも学んでも、学んだことすべてが、次から次へと時代遅れになるという学びのジレンマに陥るような恐ろしいことになりかねない。

ハーバード大学の教授は、ロボットやAIがルーチンワークを加速的に奪っていき、職人や法律家・会計士などの複雑な仕事も例外ではないと述べている。

手術ミスや介護虐待が問題になる昨今、手術ロボットや介護ロボットが一般的になり、ロボット警官やロボット兵が登場して、人の命を直接扱う仕事も機械の方が精度の高い結果をもたらすかもしれない。

なぜならロボットは、感情を排除し、仕事量に文句もいわないという、人間には絶対にできないメリットがある。

医師の前日の体調や心理状態で手術が左右されることも、介護士にいくら暴言を吐く被介護者にも、平等な介護がなされるだろう。
ロボット警官であれば、発砲すべきでない時に恐怖のあまり発砲してしまうとか、犯人の挑発に怒って暴行してしまうこともない。取り調べで女性にわいせつ行為を行ったり、理性や冷静さを強制され、影で鬱憤を晴らす必要もない。

ただし、こうしたロボットへの命令・判断を下す人間の質が、これまでより重要になる。
ロボットの導入により、人に求められるのは、いかに正しい決定を下すことができるか、倫理的な判断ができるかといった、人間性そのものを求められるようになるだろう。

高潔な人間しか、高額な賃金を得ることはできないだろう。

海外のコンサルタントは、ロボットに勝てるのは、園芸やベビーシッターなど地域の人が関わる仕事や、高度な思考や信頼関係の構築が求められる一部の仕事のみと断言する。

これからは、人間だからこそ、できることは何か?を考えていかねばなりそうだ。

ロボットができない人間に残してくれる仕事は、思考と経験が必要とされるものだけになるだろう。
にも関わらず、現在の教育は黙って言われたことを記憶するよう教え込むことのみで、近未来の時代に追いついていけない人材を創り出している。

テクノロジーによってコストは安くなり、人件費が高コストになっていく中、非常に高度な仕事に就く人を除けばお金を稼ぐことはできなくなるだろう。
近い将来、現在とはまったく違った働き方や仕事観をもつ人で世の中は作られていくであろう。

ロボットは、ゼロから新しい価値観を創り出すような「アート」は行えないからと「アーティスト」という肩書きでビジネスを始めている人もいる。

しかし、写真の通り、演劇の世界にもロボットが侵入してきた。
平田オリザ氏作・演出の青年団+大阪大学ロボット演劇プロジェクト、アンドロイド版『変身』がそれである。

演劇も役によって、当人のアイデンティティを殺し、役そのものに成りきることが必要な場合もある。
そうした場合、個性よりも殺した自分を演じきるには、ロボットの方が適切である場合も出てくるだろうし、ロボットが日常の中の当たり前になれば、自ずと演劇にロボットが入り込んできても当然だ。

こうした時代に、それでも人間が必要となる職業に「ビジネスプロデューサー」がある。
大企業のCEOに役員会議で何を話すべきか、クライアントにどうプレゼンテーションを行うか、新規事業のプランをどう組み立てていくか。

ルーティンワークでなく、必要とされる時に必要とされるものを必要な情報のタイプに応じて、マルチタスク的に対応のできる人財がビジネスプロデューサーだ。

データの収集・分析が完全に機械化された時、人間が人間をサポートし、コンピューターのパターン分析や確率モデリングだけでは解決できない問題に取り組むというコンピューターを超える頭脳が求められる。

コンピューターやロボットの仕事では数値化できない、その背景にある人々の心理や哲学、文学、文化的な要素までじっくり考察した企画書や報告書を創造できるのがビジネスプロデューサーの役割である。

ロボットの普及は、もう誰も止めることはできない。
だからこそ、ビジネスプロデューサーの力をもってして、ロボットと人間の共存共栄の時代を生み出すことでしか、近未来の人間を救うことはできないのかもしれない。

本記事の平田オリザ氏作・演出「アンドロイド版『変身』」をご紹介したい。

「ある朝グレゴールザムザが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドのなかで自分の姿が一匹のとてつもなく大きな毒虫に変わってしまっているのに気がついた。」で始まるカフカの『変身』をロボットに役者として舞台に上げたこの作品は、近未来の演劇の新しい形のはじまりかもしれない・・・

ビジネスプロデューサーという存在も、近未来の経済を支える稀少な存在となると、筆者は考えている。

青年団国際演劇交流プロジェクト2015
青年団+大阪大学ロボット演劇プロジェクト アンドロイド版『変身』
原作:フランツ・カフカ
作・演出:平田オリザ
アンドロイド開発:石黒 浩(大阪大学&ATR石黒浩特別研究所)
翻訳:マチュー・カペル 小柏裕俊
2015年5月7日(木)-5月10日(日) 5ステージ
会場:早稲田小劇場どらま館
http://www.seinendan.org/play/2015/03/4316

早稲田小劇場どらま館開館記念トーク
平田オリザ×鎌田 薫(早稲田大学総長)対談!
司会:岡室美奈子(演劇博物館館長)

日時:4月23日(木)14:45~16:15
会場:大隈講堂
*予約不要・無料

(PHOTO:青年団 ©西山円茄)

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