LEDの可能性はWi-Fiを超えるLi-Fi
インターネットを利用する者たちの通信は、無線Wi-Fi利用が半数以上に上る。
【総務省:通信利用動向調査】(最新 2015年7月17日発表)
このWi-Fiが近い将来、既存のLED電球技術を使った「Li-Fi(ライファイ)」という無線通信手段が主軸になる可能性が出て来た。
Li-Fiは、現行のWi-Fiの100倍の速度を超える超高速のデータ通信が可能で、エネルギー効率も良く、さらにはセキュリティ向上の可能性をも高い。
現在、実用化に向けて研究が進められている。
Li-Fiは光波を使ったデータ通信で、Wi-Fiは電波を利用する。
波(Radio waves)には制限があり、一定の範囲の波長しか使用できないが、電球の光などの可視波長は膨大な光スペクトルを持ち、電波の10000倍ともいわれ、スマートフォンの普及増加がさらに進み、通信するデータサイズが厖大化しても、Li-Fiの光波ならば帯域制限が無くなる。
総務省資料別添2-12Pでもわかるように、映像・音声コンテンツの利用に使用する端末は、スマホやタブレットが増えている。
また、コンテンツに関しても、今後、映像等のコンテンツが主流になることも予測される。
電波を使用するためには基地局が必要であるが、大量に消費されるエネルギーのほとんどが電波を送るためではなく塔の冷却に使用されていたりと電波塔の効率性は非常に悪いと言われている。
総務省資料別添1-9に記されるように、企業のセキュリティ侵害についての課題も、電波は妨害されたり傍受されたりと安全面においても問題があるが、Li-Fiは、LED電球の光が直接当たる場所でなければ使えないので、壁を隔てていたり、屋外にいる人間が屋内のシステムに侵入することはできない。
セキュリティの面で、Wi-Fiより安全であるといわれている。
注意点として「Techcrunch」では、望遠レンズと最適に調整された光センサーがあれば、それが覆される可能性があるとは指摘しているが現実的とはいえない。
そしてLi-Fiが使用できる「既存のLED電球」とは、Wi-Fiの規格「802.11」と同じような無線LANの環境下で機能するため、新しい電球が必要であり、スマートフォン・タブレット・ノートパソコンには、この新しいテクノロジーに対応する光センサーを搭載しなければならないという点がある。
これらの点は、Li-Fiが近々普及されるまでには、通信機器も対応がなされることが予測される。
また直射日光が当たる場所(または強烈な光を浴びる変則的環境)では使用できない。
Li-Fiは、モールス信号の原理に似ているといわれている。光をデジタル信号に変えて通信するという仕組だ。
人間にはただの光にしか見えない可視光を使用し、光を超高速で点滅させデータを分析する。
PureLiFi社が作成したインフォグラフィックで説明されているが、インターネットとルーターがケーブルで、屋内のLED電球につながり、光波でデータを伝送し、スマートフォン・タブレット・ノートパソコンに搭載されている光センサーが受信し無線でインターネットにアクセス可能になるという仕組みだ。
Wi-Fiの電波の混雑や無線がつながらない理由は、映像や音声のデータ通信量の大きさによるものであった。
1秒で18本の映画がダウンロードできる速さだという。
Li-Fiは、エストニアで開発された。
エストニア共和国は報道の自由度ランキングの上位国であり、Skype(スカイプ)を産んだ国でもある。
外国からのIT企業の進出も多く、早期IT教育や国際学力調査で欧州の上位国としても知られている。
経済自由度指標では世界第13位(2009年現在)にランク。政府による経済統制は殆どなく、市場調整型ではなく市場放任寄りの構造で好調な経済成長を遂げている。
13世紀以降、デンマーク、ドイツ騎士団、スウェーデン、ロシア帝国などの支配を経て、第一次大戦後1918年ロシア帝国より独立。
第二次大戦中1940年ソビエト連邦が占領、翌1941年独ソ戦でナチス・ドイツが占領、1944年ソビエト連邦が再占領し併合。1991年同連邦より独立を回復したという、常に大国の支配下から、自由を勝ち取ることの誇りを知る国民性をもっているともいえる。
新しい価値を生み出すためには、支配への苦痛を知り、自由への強い希求の意識をもつことが原動力につながるといえよう。
ビジネスプロデューサーを目指す人たちには、真の自由に自らをおく決意と何物にも支配されないという強さが求められているのかもしれない。
(PHOTO:Tatiana Lapina)