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再生可能エネルギーの買い取り制度抜本見直し

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原発事故後、注目の太陽光エネルギー

福島第一原発事故後、太陽光や風力など再生可能エネルギーに注目が高まり、2012年7月、自然エネルギーの活用を促すため、再生可能エネルギーで発電した電力全量の買い取り制度が導入された。

過去、太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーは、火力発電などより発電コストが高いとされ、普及が進まなかった。
そこで、政府は、電力会社に再生可能エネルギーで発電したすべての電力を固定価格で20年間から10年間買い取ることを義務づけた。
対象は、メガソーラー等の事業者のみならず、住宅の屋根などに設置された太陽光パネルで発電された電力も含まれた。

 

再生エネルギーの固定価格買い取り制度抜本的見直し

しかし、18日、経済産業省は、総合資源エネルギー調査会の新エネルギー小委員会にて、再生エネルギーの固定価格買い取り制度を抜本的に見直すことを示した。

電力会社が発電事業者に、日数制限なく出力抑制を求められる指定電気事業者制度などがそれで、事業用設備が対象の出力抑制を住宅用にも拡大。きめ細かい送電調節ができる遠隔操作装置の導入義務づけも提案した。
新しい発電抑制のルールは来年1月中旬から導入する方針という。

太陽光発電に参入した新規事業者は増え続ける一方、電力会社をつなぐ送電線の容量は限られている。
太陽光などの電力は天候によって左右され、安定性がないため、送電線に必要以上の負荷をかけないようにする送電量の事前予約が不可能で、原則太陽光などの電力は流すことができない。

事業者の中には、国の認定を受けた後、太陽光パネルなどの発電設備が値下がりするまで運転を始めず、利益拡大を狙う動きも出ている

 

風力発電の難しさ

風力発電に関しても、福岡市東区香椎浜ふ頭の市営「みなと100年公園」に設置されている 風力発電施設の風車(直径約3.4・メートル)の羽根3枚が、強風により、突然折れて飛ばされ、落下するという事故が12月1日に起こった。
同風車は、平成22年3月にも、同様の事故が起きている。

金沢では、風車に雷が直撃し、羽根が折れて落下する事故が3度も起きている。
市側は、資源エネルギー庁の補助事業のため、市単独で廃止するわけにもいかないと困惑したまま、羽根の落ちたままの風車が野ざらしになっている。

このように自然に任せたエネルギーの安定確保や、想定外の事故、メンテナンスの手間など、課題は山積みである。

こうした問題を丁寧に検討する間もなく、制度が先走りしたことで、ビジネスとして事業を興した人々にも、先行きの不安を拡げている。

 

欧米の再生エネルギー課題

再生エネルギーについては、スペインやドイツに学べという意見も多い。

しかし、ドイツでは再生エネによって、賦課金を含め電気料金が10年間で2倍に高騰し、国民の不満が高まり、大きな政治課題となっている。
ドイツ政府の諮問機関である研究・イノベーション専門家委員会は「再生可能エネルギー開発促進法は電気料金を高くし、気候変動対策にも、技術革新にも役立たず、継続の妥当性は見出せない」という報告書を提出している。

スペインでは、ドイツや日本と違って国民負担を求めない代わりにに電力会社に負担を負わせた。
スペイン政府は太陽光の固定価格買い取り価格を段階的に引き上げ、2007年には、前年の2倍となる44.6ユーロセント(日本円71.36円)/kwとし、この高価格設定により、太陽光はすごいスピードで普及し、2011年、風力、水力を含めた再生可能エネルギーの発電量は、総発電量の3割を占めるまでになった。

しかし、政府は電力会社に対し、買い取り額の電気料金上乗せを認めなかったために、スペインの5大電力会社は260億ユーロ(3兆6千億円)の累積赤字を抱えた。
政府は買い取り制度を中断するという緊急措置を取ったが、累積赤字の解消にはなっていない。

ビジネスプロデューサーは、常に環境と共にビジネスを考える。
生活する上で、欠かせないエネルギー問題について考えることは、未来のビジネスを組み立てる上でも重要な課題であろう。

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