学生たちのオリンピック「ユニバーシアード」に向けて
「DENSO CUP SOCCER 第11回大学日韓(韓日)定期戦」
2014年3月29日。
日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟する川崎フロンターレがホームスタジアムとし、日本陸上競技選手権大会などの陸上競技大会が開催されている等々力陸上競技場で、「DENSO CUP SOCCER 第11回大学日韓(韓日)定期戦」が行われた。
試合結果
試合結果は、最初の得点は仲川輝人選手のPK得点から始まり、呉屋大翔(ひろと)選手の3つのシュートによるゴールと、再度の仲川選手のPKゴール、室屋成選手のシュートによるゴール、6vs0の無失点で、全日本大学サッカー選抜チームが優勝した。
準優勝の全韓國大學サッカー選抜チームは、前々日の27日に来日しての試合という強行軍ながら、ゴールを目指し健闘したが、無得点で会場を後にした。
この悔しさは、きっと、2015年に行われるユニバーシアード韓国光州開催の大会までのさらなる努力のきっかけとなるであろう。
過去にない無失点での勝利を手にした日本チームも、ユニバーシアードまでの1年を、さらなる成長に向け、努力を怠らないであろう。
指導法の秘密
というのは、この選抜チームを率いる日本代表監督の神川明彦氏の学生たちへの指導法に秘密がある。
本日、ご紹介したビデオ映像は、デンソーカップ開催の前々日に、レッズランドの人工芝A-1コートで行われた非公開練習の一部だ。
グラウンドの外からでも、次々と進められる練習メニューが、選手に何を求めているのかが理解でき、また、選手が守りに強いのか、攻めに強いのかが、見えてくる。
さらに、選手がベンチで、自分たちの靴を揃え、服を畳んで置いていた、この一枚の写真が、神川ジャパンのすべてを表しているように感じた。
世界に通用する人材を育てている
神川監督は、「私は、サッカーを教えているつもりはないんです。サッカーという競技を通じ、世界で活躍できる人財を育てているつもりで毎日を過ごしています。過去の大学サッカーは、講義のある時間から練習をはじめ、勉強よりサッカーだけをやっていればいいんだというスタンスで選手に接して来られた方が多かったように見受けられます。しかし、大学という場は、専門的な知識をもった教授や講師たちから、学ぶ大切な時間でもあります。その時間を選手だからと奪ってしまい、怪我や不調で競技ができなくなった時、その人間の人生そのものが終わったと感じ、そこから先に進めなくなってしまう人間のことも見てきました。まず、人として身につけるべき最低の教養と、どんな壁が立ちふさがっても、それに負けない人間になるための力を、自分の内に、この18歳から20代前半のうちに吸収してもらいたいと思って指導しています。」と、語る。
選手たちの声
練習後、ゴールキーパーで、チームに守りの安心を与える専修大学2年生の福島春樹くんは、「神川監督は、すごく秩序を大事にされてます。自分達は、そういう環境でサッカーをすることがなかったので、きっと、社会に出てから、生きてくることなんだって感じながら、今、勝つことを目的に頑張ってます。自分の中で、負けるって言葉はなく、勝つことしかないです。」と、目を輝かせていた。
関西学院大学2年生の小林成豪くんは、「勝つしかない!そのモチベーションを神川監督から教えられてる気がします。自分の力があふれてる気がします。」と力強い言葉で応えてくれた。
専修大学3年生の仲川輝人くんは、「神川監督は、誰よりもサッカーが大好きなんだっていうことが、言葉にしなくても伝わるし、選手たちとのミーティングもとことんまで付き合ってくれる。だから、試合でも、自分が何をしなければならないのかってことが、自分で自然と行動に表れてくる。恵まれていることに、今回3回目のデンソーカップで、過去2回の自分の試合は、5分5分で引き分け。だから、絶対に、自分が得点をして勝つことで、自分の試合として勝ちにもっていきたい。」と、2時間の濃密な練習に、まったく疲れがないと爽やかな顔で語った。
仲川選手は、身長161cm(公式発表)とチームの中では、一番小さい体でありながら、フィールド内の端から端までを一番走り回る。
ボールだけの視線を置くのではなく、また、他の選手を見ていないようでありながら、その存在を意識し、身体がボールを吸い寄せるようなフィールドと一体になった動きをするのが、印象的だった。
関西学院大学2年生呉屋大翔(ひろと)選手のキックの圧倒的な力強さと共に、全日本大学サッカー選抜チームを引っ張る小さな巨人。
神川監督は、選手一人一人の才能を見抜き、それを引き出す指導法を、生涯にわたるサッカーを通じた経験から体得しているのであろう。
「DENSO CUP SOCCER 第11回大学日韓(韓日)定期戦」表彰
【最優秀選手(MVP)】
FW 呉屋大翔 (ゴヤ ヒロト) GOYA Hiroto 全日本選抜 関西学院大学 2年生
【優秀選手】
MF 仲川輝人 (ナカガワ テルヒト) NAKAGAWA Teruhito 全日本選抜 専修大学 3年生
GK 福島春樹 (フクシマ ハルキ) FUKUSHIMA Haruki 全日本選抜 専修大学 2年生
DF 鄭昇炫 (チョン スンヒョン) 全韓國選抜 延世大學校 2年生
MF 嚴鎭泰 (オム ジンテ) 全韓國選抜 慶熙大學校 4年生
※ ユニバーシアードとは
国際大学スポーツ連盟(略称 FISU)が主催する総合競技大会。全世界の学生たちが集まり、一般に「学生のためのオリンピック」といわれている。ユニバーシアードの名称は、大学(University)とオリンピアード(Olympiad)からきている。また諸外国では、通称でWorld University GamesやWorld Student Gamesと呼ばれている場合もある。
※ デンソーカップとは
1986年に中京テレビ杯ヤングサッカーフェスティバル・大学生の部として誕生し、1992年からデンソー(当時:日本電装株式会社)が協賛して開催するようになった。大会は大きく「チャレンジカップ」と「日韓大学定期戦」の2本立てで行う。全国を北海道・東北、関東A、関東B、東海・北信越、関西A、関西B、中国・四国、九州の6地域8チームに分け、4チームずつ2組で総当りリーグ戦を展開。各組の同順位チーム同士で順位決定戦を行う。 2011年は関西A、Bが関西選抜1チームに編成され、代わりに全日本大学選抜が参加。
「デンソーカップチャレンジサッカー」の最優秀選手全員がJリーグに行っている。
近年、大学サッカー界から即戦力としてJリーグへ輩出していることからも大学サッカー界のレベルの高さが伺える。
神川監督セミナー開催
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