ロシア2億人ユーザーSNS「VKontakte」の創業者らに捜査の手
ロシアで最も人気のあるSNSである「VKontakte」の創業者と本社が、警察に捜索されたと、BBCが報じている(2013年4月17日午後3時5分投稿)。
捜索を受けたのは氏(28歳)。サンクトペテルブルグ警察が、自宅と同社のオフィスを手入れした。
ロシアで最も人気のあるソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)である「VKontakte」(ユーザー数2億人)の創設者、パヴェル・デュロフ氏(28)が、交通警官をひき逃げした容疑でロシア当局の取り調べを受けている。同氏は容疑を否定している。
2006年、パヴェル・デュロフ氏はSNS「 VKontakte」を創設した。同SNSは、ロシアで最も人気があるSNSで、フェイスブックに似た機能を持っている。
ロシア国内の報道によれば、今月初旬、サンクトペテルブルクでロシア人の警察官が白いメルセデス・ベンツにひき逃げされる事件があった。同警察官は、擦り傷やあざなどの軽症を負った。車を運転していた人物は現場から徒歩で逃走した。その逃走した人物がデュロフ氏ではないかという嫌疑がかかっているのである。
ロシア・トゥデイ(Russia Today)によれば、デュロフ氏は容疑を否定し、「私は引き逃げ事件に無関係です。これは(当局による)メディアキャンペーンです」と述べた。同氏は車を持っていないという。
デュロフ氏は、SNS「VKontakte」を2006年に創設した若きメディア王。Facebookの創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏(Mark Zuckerberg)と並べて語られることが多い。
同氏は、ロシア当局から野党勢力取り締りへの協力を要請された際、拒否した。2011年、ロシア政府は、野党勢力のページをVKontakteから削除するように命令したが、同氏は無視した。そのことが原因で、政治的なキャンペーンの対象となっている可能性がある。
ガゼタ(Gazeta)によれば、パヴェル・デュロフ氏の兄であり、VKontakteの共同創設者でもあるニコライ・デュロフ氏(Nikolai Durov)は、「今のところ、ロシア当局の真の動機はわかりません」 と前置きした上で、「私は、彼らがパヴェルに対する刑事事件を立件したがっていると考えています。そして、VKontakteから野党勢力を締め出すように圧力をかけたいのです」と、VKontakteへ投稿した。
しかし、それはデュロフ氏の憶測に過ぎず、ストレートに圧力をかけてくる人物はいないという。
ニコライ・デュロフ氏は、ロシア当局がVKontakteのオフィスに来たときの様子を描写する。BBCによれば、ニコライ氏は「私たちが働いているとき、突然、革のジャケットを着た20人の男性がやってきました。私は、彼らが何を探しているか不思議に思いました。何か情報を集めているようでした。あるいは、盗聴器をしかけているのかもしれないと感じました」とVKontakteへ投稿した。
VKontakteは、ロシアで最も人気のあるSNSで、2億人のユーザーがいる。一方、同国におけるフェイスブックのユーザー数は700万人である。(VKontakteは、ロシア語圏のウクライナ、カザフスタン、モルドバ、ベラルーシ、イスラエルでも人気がある。)
現在、VKontakteは、ユーザーに海賊版の投稿を許可し、それによって同SNS内で海賊版を共有させたという理由で、法的闘争に巻き込まれている。
VKontakteはロシアではフェースブックを遙かに凌ぐ人気のSNSで、2億人のユーザーがいる。2011年には、セキュリティ・サービスの命令があったにもかかわらず、野党の記事を削除するのを拒んでいた事もあった。
創業者のデュロフ氏は公の席に出ることは稀で、専ら自分のサイトにメッセージを書くのが好きなタイプ。世間では「リバタリアン」(”libertarian”)だと見られている。
警察側に言わせると、今回の捜索は今月5日にサンクトペテルブルグ中心部のネフスキー大通りにある同社の本社のそばで、白色のメルセデス・ベンツが交通警官の制止しろとの合図があったのに止まらず、そのまま突っ込んでかすり傷などを負わせた疑いとしている。
幾つかのメディアが、件の車の後ろにデュロフ氏が乗っていたと報じているが、今の所は起訴された人は無く、本人も関与を否定している。同氏の個人広報担当者は、そもそもデュロフ氏は車を持っていないと反論している。
家宅捜索は突然だったらしく、デュロフ氏の兄弟で同社の共同創業者でもあるニコライ・デュロフ氏は「一緒に仕事をしていたんだが…突然20人の革ジャケットを着た無言の男達が現れたんだ」(”We are working… and suddenly 20 silent men in leather jackets appear,”)と、サイトの自分のページに投稿していた。
「何かを探しているのだと思った。それか、情報収集して盗聴器でも仕掛けるのかなって」(”I wonder what they are looking for. Or perhaps they are gathering information and planting bugs,”)。
なお、昨年パヴェル氏は第二次世界大戦でのスターリンの勝利についてTweetし、抑圧時代のソ連を賛美する気かとロシアの一派を怒らせていた。