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高齢者のライフスタイル多様化?アミューズメントカジノで若さ復活!

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「株式会社エルダーホームケア」は鎌倉市に本社をもつ有料老人ーム経営(鎌倉 西鎌倉、藤沢 上大岡、町田、三ツ池の6箇所、デイサービス5箇所、訪問介護事業所3箇所)で急成長をしていた。
1月30日、東京地裁へ自己破産を申請。負債総額約6億5千万円。事業は同業者が引き継ぎ、経営は継続される予定。

創業は平成14年、資本金3千万。社長は40代で、10年目にしての破たん。急成長の裏には急激な投資があり、24時間常駐の介護スタッフで、認知症対応、格安入居金150万円で、定員30~50人の中規模老人ホームが主であった。訪問介護や、デイサービスも行うという、補助金が出ても採算度外視では持続継続は難しかったといえる。業界ではこの規模が一番採算の難しいラインともいわれている。

そうした中、埼玉県和光市では、アミューズメントカジノを、介護サービスの一環に取り入れている。
参加者全員に、100枚のカジノチップ、またはコインが配られ、ルーレット・ビッグマネーホイール・クラップス・その他トランプゲームなどを行う。
年スパンで市内の介護施設を巡回し、年間での利用者は平均して1000人ほどに登るという。

住所:埼玉県和光市新倉1-20-39 和光市新倉高齢者福祉センター内。
TEL:048-464-1111(和光市役所 長寿あんしん課)

厚生労働省でも、その取り組みを掲載している。

諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授によると、パチンコやスロットを使ったトレーニングで、高齢者ほど認知症の予防に役立つという結果が出たという。
脳の奥には「線条体」という部位があり、射幸心や楽しみにより活性化し、やる気や意欲を促進する。通常は加齢とともに衰えるが、その部位が活性化し、認知機能が向上したというデータが取れたという。
同教授は、パチンコ店が高齢者の遊び場にとどまるのではなく、さまざまな健康意識を提供する場となるとよいのではないかと提案している。

パチンコ店の中には、ホールの床に一直線の白線を引き、「まっすぐ歩いてみましょう」と記したり、パチンコ台に 「三和土」「梯子」といった漢字の読み方クイズを書いたり、お客さんに万歩計を渡し、来店ごとに歩いた距離を記録するウオーキングイベントなどを開催する店もあるという。

「デイサービス ラスベガス」(日本エルダリーケアサービス)は、内装・ゲーム内容など海外の本格的なカジノと遜色ないものを追及した高齢者の社交場を取り入れ、ルーレット・バカラ・ブラックジャック・スロットマシーンなどの本格的カジノゲームの他、パチンコ、スロット、麻雀、囲碁、将棋などを行い、カラオケや読書スペースも用意する。

利用者は「ベガス」という疑似通貨を入場時にもらいゲームを楽しみ、たまったベガスの額に応じてマッサージなどのサービスを受けることができる。

通常デイサービスにある入浴サービスは行わず、食事はゲームを楽しみながらでも摂れるファストフードのようなもので、500円でパスタ、カレー、うどんなど10種類のメニューと各種ソフトドリンクが食べ放題・飲み放題、希望者にはモーニングも提供する。実費でノンアルコールビールやノンアルコールカクテルも飲むことが出来て、食事時間に制限はなく、食事をいつとるかも利用者の自由になっている。
サービス提供時間は7~9時間とし、1日の利用は25人程度を想定。うち半分は1日1000円から2000円程度で利用できる自己負担利用者を見込んでいる。

さらに同社では、フランチャイズを行う。
メリットとして、デイケアの人員配置は満たすが、介護サービスをほとんど提供しないため、介護未経験でも就業可能でありスタッフの確保がしやすいという点、飲食や物販などの接客業の事業者が新規事業として手掛けたり、脱サラなどで開業を考えている人に、飲食などのフランチャイズ店舗と同じ感覚で開業できる点を上げている。
加盟金は200万円、ロイヤリティーは6%。開設に必要な面積は60坪程度だが、レイアウト工夫などで40坪程度からでも対応可能。
カジノテーブルなどは海外のカジノで使われている本物を用いるため内装費は若干高くなるが、浴室を整備しなくてもいい分、開設初期コストは通常のデイと同程度だという。

アメリカでは、1960年代から、「リタイアメント・コミュニティー」という補助や看護を必要とした熟年者や退職者向けの住宅・住宅地が開発・分譲されてきた。
「夫婦のいずれかが55歳以上であるか単身者であること」を入居の条件にし、、限られた生活費の中で安全と健康を確保しながら生活するための街が生まれた。

大規模な開発事例の1つが、米フェニックスにある「サン・シティー」。この街は、ゴルフ場やプールのある270万坪の広大な敷地に1万2300人の高齢者が豊かに暮らせる街として開発された。
南カリフォルニア、アリゾナ、ネバダ、テキサス、フロリダといった温暖な地域に続々と建設され、200~400世帯程度で従来型の小規模な「集合住宅型」を含め、全米各地に建設されている。

日本では高齢者の住居は、体の不自由な方をイメージし、社会的な施設も同様のイメージから作られ、デイケアの内容も、幼稚園児のようなお遊戯や手遊びなどが主流になっている。
というのも、日本では老人たちだけで住むことを不自然と感じ、住まいというのは子供からお年寄りまでいてはじめて成り立つという固定概念があるからだ。

しかし、アメリカの多くのリタイアメントコミュニテイーは体の不自由になった老人の方を対象にしているのではなく、自立して生活できる55歳以上の方の街ととらえ、住宅地の介護内容を売り物にしようというコンセプトは全くない。体が不自由になればその状況に応じて、マンションを売却し別の施設に移ればよいという考えをもっている。

ロサンジェルスにある『ユダヤ人高齢者の家』は自立型ホーム、一部介助型ホーム、療養介護型の各施設から構成され、家には手すりなどがない。その体の状況に応じて、内容の変わる施設に入居をするために移動していく。

ビジネスプロデューサーは、常にコンセプトからブレることはない。

このリタイアメントコミュニテイーは、高齢者や老人というコンセプトで事業を捉えるのではなく、ベビーブーマーという世代を見据えて事業展開をしている。
新たな膨大な消費者は誰だ?と問いかけ、老人への住宅供給ではなく、ベビーブーマー世代の住居を想像し創造しているのだ。
彼らはどのような場所に住みたがっているのかを調査し、それにあった住宅を提供しようとしている。

コンセプトとは、常に「WHY」を秘めている。そのことを見失わないことが、固定概念を超えたものを生み出すアイデアのヒントになるのかもしれない。

(PHOTO : GregMontani)

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