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NTT東西で光回線の卸売り、世界初で開始を発表。

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NTTは2014年5月13日、NTT東西において光回線の卸売り、光アクセスサービスを他事業者にサービス卸として提供する「光コラボレーションモデル」を発表した。
2014年度第2四半期中にサービスの概要を提示し、2014年度第3四半期からの提供を目指す。NTTによれば、光アクセスの本格的な「サービス卸」は世界初という。

NTT東西は現在、「フレッツ光」のブランド名で光サービスを提供している。
「光コラボレーションモデル」によって、様々なプレイヤーが光回線を借りて独自ブランドでサービスを展開できるようにすることで、世界最高水準の光アクセスを活用した新たなビジネスモデルの創出を推進し、社会課題の解決や日本の産業競争力の強化に貢献したいとする。

今回の発表により、NTTドコモがNTT東西の光回線の卸提供を受けて「セット割」を展開する道筋が予測される。

一方、NTTの今回の発表に対して、KDDIとソフトバンク、イー・アクセスなど通信事業者65社は、「解禁されては競争が促進されない」として、公正な議論を求める要望書を総務省に提出している。
KDDIはこの事態を想定して「2020-ICT基盤政策特別部会 基本政策委員会」の公開ヒアリングで、「公正な競争環境が維持されなくなるため、光回線の卸提供を禁止すべき」との意見を出していた。

総務省は、世界最高レベルの情報通信基盤の整備を目指し、「2020年代に向けた情報通信政策の在り方」を情報通信審議会に諮問している。審議に向けて2020-ICT基盤政策特別部会を設置し、通信事業者へのヒアリングが始まったところだ。今後、論点を整理し、夏場の中間報告を経て11月に最終報告書を作成し大臣へ答申する予定。

ただ、具体的な議論が始まる前から「総務省はNTTグループによるスマホと光回線のセット割引の解禁を検討している」(現在は電気通信事業法で規制されている)との報道が先行し、2020年に向けた議論のはずが、NTTのセット割引解禁など、まるで規制緩和が論点であるかのようにすり替えがなされている。

NTTのあり方についての議論は、ドコモを持ち株会社から外そうとしてのスタートだったが、現在も持ち株会社はドコモの株式を保有している。

これまでも、「ブロードバンド普及促進のための競争政策について」や「通信・放送の在り方」に関してのヒアリングが行われ、NTTの独占への対処が訴えられてきた。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000118995.pdf

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/chousa/tsushin_hosou/pdf/060322_3_s7.pdf

携帯で45%(13年3月末)No.1シェアのドコモと、NTT東西の光回線の72%(13年3月末)Np.1のシェアの、両サービスとの連携が可能になると、ユーザーは高いシェアの会社になびき、さらに、ドコモに乗り換えるだけで料金が安くなるというメリットを得る。これは、現在のドコモの45%のシェアが、72%に向かっていくことが想定される。
通信インフラの中で、政府が株式の3分の1以上を保有するNTTの立場が見えてくる。

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