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通信料金自由化の中国と電力小売り自由化の日本

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中国工業情報省は、「すべての通信サービス料金は市場によって管理され、通信企業は具体的な料金の体系や基準、請求方法を独自に設定できる」と声明を出し、通信会社が独自でサービス料金を設定することを認めると発表した
中国ではこれまで、政府が通信料金の価格帯を設定していたが、昨秋の共産党第18期中央委員会第3回総会(3中総会)で市場経済化促進の一環を決め、料金設定で政府関与をやめ、各社間の競争を促してサービス向上を図ることを目的としている。

通信料金自由化がされると、中国移動(チャイナ・モバイル)、中国連合通信(チャイナ・ユニコム)、中国電信(チャイナ・テレコム)の3大国有通信会社は、独自の料金設定が可能になる。

携帯電話会社から回線を借りて通信サービスを展開する仮想移動体通信事業者(MVNO)にも、料金体系の設定において一段の主体性を与える可能性がある。
電子商取引会社アリババ・グループや京東商城(JDドット・コム)、家庭器具小売りの蘇寧雲商などは昨年、MVNO免許を申請した。

日本では、2016年に電力小売りを全面自由化することを柱とする電気事業法改正案を閣議決定し、電力小売りの全面自由化がいよいよ現実味を帯びてきた。

経済産業省が電力各社の家庭向け売上高から算出したデータによると、全面自由化でテレビやスマートフォン(高機能携帯電話)市場にほぼ匹敵する7.5兆円分の市場が新たに開放される。
大手電力会社の地域独占となっている一般家庭や商店向け電力の小売りを自由化することで、消費者は料金やサービスを比較し、他地域の電力会社や新規参入組を含めて購入先を選べるという競争が生まれる。新規参入組は、それぞれに、家庭に食い込む武器を持っている。

ソフトバンクとKDDIは、携帯電話とのセット売りで勝負をかける。
ソフトバンクは、子会社のSBエナジーが全額出資するSBパワーが、経済産業省に新電力(特定規模電気事業者:PPS)として届け出て、工場やマンションなど大口需要家向けの販売をねらい、16年をめどに、太陽光や風力で発電した家庭用電力販売に進出する予定。
15年度末までには、総出力で30万キロワット規模になるという。SBパワーの最大の強みは、携帯・固定通信の契約を5000万件保有しており、すでに料金回収の仕組みを持っているため携帯電話料金と一括して請求でき、セット割引も検討する。

KDDI(au)は子会社のケーブルテレビ(CATV)・ジュピターテレコムを通じ、CATVやインターネット回線と電力のセット販売を、関東や関西のマンション向けに展開している。16年には家庭向けにも同様のサービスを始める。

全国1万1000カ所のガソリンスタンド「ENEOS」という販売拠点を持っている、石油元売り最大手のJXホールディングスは、傘下のJX日鉱日石エネルギーが火力発電所の新増設を進め、発電規模を30年までに現在の3倍に増やし、家庭向け電力の販売拠点として活用するつもりだ。

大手商社の伊藤忠商事は、子会社の新電力・伊藤忠エネクスが家庭向け電力小売りに参入する。
東北など2カ所に石炭火力発電所を新設するほか、既存の火力発電所も増設。投資額は500~600億円の見込みで、他社からの電力調達も含め販売電力量は3年後に10倍の10億キロワット時に引き上げる。伊藤忠は家庭向けの液化石油ガス(LPG)で100万世帯の販路を持つ。併せて2200カ所の系列ガソリンスタンドの販売網を活用して顧客を開拓する。

パナソニックは、独自の手法で参入し、太陽光発電システムを持つ家庭で使い切れずに余った電気を買い取り、新電力会社やグループ会社などに売り、18年度に売上高2兆円を目指す住宅関連の新規事業と位置付けている。
パナソニックが51%、コンサルティング会社のエプコが49%を出資して、1月に新会社パナソニック・エプコ エナジーサービスを設立。
今夏から本格展開して、18年度をメドに契約件数50万件、売上高200億円を目指すという。
再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で定めた、家庭向け太陽光発電(10キロワット未満)の買い取り価格は、14年度に1キロワット時当たり37円に引き下げられるが、パナソニックはこれを上回る価格で買い取るという。

自社発電を供給を目指すのは、居酒屋のワタミ。環境関連子会社のワタミエコロジーが経産省に新電力として届け出て、電力小売り事業に参入する。
民間の発電卸売市場で再生可能エネルギーを中心に購入を始め、5月からグループの外食店や工場向けに供給を開始する。
ワタミは45億円かけ、北海道厚真町に出力1万5000キロワットのメガソーラーを建設中で、11月に本格稼動させ、自前のメガソーラーで得た再生可能エネルギーを販売する。最終的に、グループ全体で使う電力の7割をワタミエコロジーから買い取る計画をしている。

電力会社やガス会社は地域性が強く、営業エリア以外では十分な販売網を持っていない。新規参入組は、その隙間を狙い、すでにもつ販売網・・・携帯電話、ガソリンスタンド、家庭用太陽光発電などを使い、電力小売り事業に参入する。

自由化により、国は富むのか、人々の生活は豊かになるのか。
ビジネスプロデューサーは、どのようなビジネスモデルを考えるのだろうか。

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