平等が何かを問いかける政府税調の減税先行容認案
政府税制調査会は16日、法人税改革に関する意見書原案をまとめた。
法人税率の引き下げは「避けて通れない課題」との考えで一致。
「単年度での税収中立である必要はない」として減税先行を容認。
一方、減税財源に関しては、赤字企業にも一定の税負担を求めるなど法人税の課税範囲(ベース)を拡大し、「広く薄く税負担を求める構造にする」としている。
意見書案では「世界標準に沿った成長志向の法人税改革を行うべき時にきている」と指摘され、実効税率が約35%と主要国の中で高止まりしている状況を早期に是正すべきとの考えを明記した。
法人税の実効税率引き下げによって、「日本の立地競争力を高め、企業の競争力を強化する」ために早期に実施するよう求めた。
必要な財源は「単年度での税収中立(増減税同額)である必要はない」として減税先行を容認し、複数年度で恒久財源を確保する。
意見書原案を示した大田弘子座長は「割と方向性がでてきてよかった」と話した。
政府税調は23日にも意見書案を取りまとめ、6月に政府が決める経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に反映させたい考え。
焦点の減税財源に関しては、法人税を納める企業が全体の3割に満たない現状を、麻生太郎副総理・財務相は、法人実効税率の引き下げについて「恒久的な減税には恒久的な財源が必要だ」と述べ、財源確保の重要性を改めて強調した。そのうえで、黒字企業に負担が偏っているのは「公平性を欠く」とも指摘し、税率下げに合わせて、課税範囲を拡大し、「高収益をあげる企業の税負担を緩和する」と強調した。
特定業界の法人税負担を減らす租税特別措置(政策減税)については「一度創設されると長期にわたって存続する問題点がある」とし、効果の検証と見直しを促している。
都道府県に納める法人事業税のなかで、事業規模に応じて赤字企業も負担する外形標準課税を強化することも求めた。
ただし、課税を強化する対象を中小にするか、大企業にするかで意見は対立。
いまは大企業に限っている課税対象を中小企業に広げる案には、「経営を圧迫する」として日本商工会議所の田中常雅特別顧問が反発した。
大企業への課税をさらに強めることには「広く薄い課税に反する」(一橋大の佐藤主光教授)との意見が複数出た。
さらに、中小企業への優遇税制の見直しを上げた。
中小企業には年間所得の800万円までは法人税率(国税)が15%と大企業より約10%低い特例がある。
資本金1億円以下という中小企業の基準を見直して対象を縮小することや、税率の引き上げが焦点だが、商工会議所が「慎重に考えるべきだ」とけん制した。
また、企業が子会社から受け取った株式配当に課税しない制度の縮小についても意見が出された。
持ち株比率の低い子会社からの配当への課税を強化する案に対し、「子会社で一度税金を払い、もう一度親会社が払うことはおかしい」(佐々木則夫東芝副会長)と慎重論が出た。
ビジネスプロデューサーが、ビジネスモデルを構築する際、特に、コロコロと変わる税制について、基本的な法律や、法律の改正(特に税制の改革)には、アンテナを高くしておきたい。
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