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グーグルプレイを通じた海外販売、過去に遡って課税対象に

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国税当局は、本来は消費税が不要であるはずの海外向けの売り上げについて、過去にさかのぼって消費税を課し始めた。

『パズル&ドラゴンズ』(パズドラ)の開発会社ガンホーは、各種アプリストアの売り上げランキングで常にトップを誇るが、昨冬、支払いに同意した。

この前例をもとに、国税当局は、海外売上高の多い大手アプリ会社に対し、追徴課税を進めている。
海外で人気のエイチームも、今年1月に調査が入り、過去3年分の海外売上高に対して1億円弱の消費税の支払いを求められた。同社はこれを不服とし、現時点では支払いには応じていない。

なぜ、グーグルプレイに限って課税されるのか?

アプリ販売のアップストアの場合、日本では、アイチューンズKKという直営代理店を通じてアップルにアプリを納めるという契約形態だ。
国内向けと海外向けの取引は明確であり、アイチューンズKKとの取引のみが課税対象となり、海外販売については、問題なく消費税法の輸出免税が適用される。

しかし、グーグルプレイではアプリ会社がユーザーに直接販売する契約形態をとっている。
現状の法律では海外ユーザーとの取引に輸出免税が適用されず、全取引が課税対象となる。輸出取引の証明には「販売先の氏名と住所が必要」と消費税法施行規則第5条1項で定められているため、グーグルから提供される国別売上高の情報だけでは不十分なのだ。
課税を回避するため、あるアプリ会社はグーグルに氏名と住所の情報提供を求めたが、個人情報保護を理由に断られたという。

消費税は、さらに、8%から10%へと上がる。
国内のアプリ会社にとって大きな負担になる。

海外からのネット配信に課税することは、現在の税制ではできないことになっている。
もともと税制というのは、各国で完結しているシステムだからだ。

電子データは、税関を通さなくても国境を飛び越える「物品」であり、同じ市場で商売をしているコンテンツは、従来の「輸入」の形をとらないため、海外企業と国内企業で価格差がある。

EUでは欧州委員会の協定で、電子書籍の売上金に15~20%程度のVATを 内税方式で課してきた。
が、ルクセンブルクは3%、フランスは7%と、独自に、電子書籍には軽減税率を適応してきた。
アマゾンやアップルは、ルクセンブルクに法人登記をして、他国の15~20%のVATを払わず、コンテンツを欧州のユーザーに安く提供してきた。

EUの新協定では法人登記国ではなく、購入者(ユーザー)の居住国のVAT率を課税する方式に切り替えることになった。
この措置によって、EU域内では、大きな価格差がなくなり、電子書籍の価格は上がることになった。
ユーザーにとっては、大きな増税となる。

過去、フランスでは、電子書籍のみでなく、書籍全般を「文化財」とみなし、自国コンテンツを守るために、軽減税率を適用してきた。

Amazonのビジネスモデルは、アメリカで法人登記され、サーバーもアメリカにあるため、日本の消費税を課すことはできなかった。

国税当局にとって、消費税増税による税収の確保、また国際的な課税逃れへの対応という、2つの重要課題に対応するための重要施策であるのだろうが、本来、自国文化財としてのコンテンツを守るとするならば、EUに組み込まれてしまったフランスがしてきたように、コンテンツに対して軽減税率を適用する方が、よほど他国からビジネスをしやすい国として価値をもたれるのではないだろうか。

特に、近年、日本のアニメ、ゲームといったコンテンツは世界で受け入れられ、日本の文化財ともいえるものになっている。
コンテンツを文化財と捉えるのか、ただの消費材と捉えるのか。
フィンランドでは電子書籍のVAT率は24%で、他国に比べてほとんど売れない。
ドイツでも、同様だ。高額な税金のため、ドイツの電子書籍市場は当初、まったく立ち上がらなかった。

世界の同業他社と戦うより新しい未開拓の市場を開発したほうが、圧倒的に可能性が大きい!
ビジネスプロデューサーならば、そう言うだろう。

むしろ、海外向けコンテンツビジネスによって、新たな市場作りを国を上げて行うことで、小さな国日本の付加価値を生み出すことができるのではないだろうか。

海外配信にも消費税を課税することで、ほんとうに日本は潤うのだろうか?

(PHOTO:bykst)

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