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GoogleとNestのM&Aはスマートハウスの実現を早めるだろう

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米国のGoogleが家庭用機器メーカーNest Labs買収を発表した。

買収額は、現金で32億ドル。日本円で、およそ3300億円。
トニー・ファデル(Tony Fadell)氏とマット・ロジャース(Matt Rogers)氏は、共にアップル社に勤務していた経験をもつ。
この二人が共同創設者として、Nest Labsは4年前に設立された。

ファデル氏は「iPod」の発案者であり「iPodの父」として知られている。
2000年代初頭、アップルの革新的な製品「iPod」を発案しオリジナルチームを率いて企業としてのアップルの方向を変えた。

Nest Labsは、温度センサーを搭載した学習型冷暖房コントローラー「Nest Thermostat」をリリースした。
ただのリモコンではなく、熱効率を向上させる機能を持っている。
また、ネットワークに接続する煙警報機「Protect」を発売している。

「Nest Thermostat」は、室温の設定パターンを自らが学習し、勝手に温度調節をしてくれるようになる。
人探知機能をもつ内蔵センサーによって人がいるかどうかを判断し、留守中には冷暖房を自動的にオフにしてくれる。
スマホのアプリからも操作可能な上、エネルギー消費量をグラフにして、モニターすることもできる。
そして、これらの機能によって温度調節関連のコストを20%程度削減できる。

Googleの買収によって、Nest Labsの投資家 クライナー・パーキンス・コーフィールド・バイヤーズ(Kleiner Perkins Caufield Byers/KPCB)は、2,000万ドル(約20億円)の初期の投資額が、今回の買収で4億ドル(約400億円)という、20倍のリターンを得たという。

シャスタ・ベンチャーズ(Shasta Ventures)もまた、最初の2度の投資額といわれる2億5,000億ドル(約250億円)が、今回、その大半を取り戻したとされ、2億ドル以上(約200億円)を得た模様だという。

Googleはこの買収で、短期的利益を求めてはいない。
毎月10万個のサーモスタットを販売すると予想されるが、単価250ドルの計算では、年間売上高は約3億ドルだ。
が、スマートホーム分野の技術を確保し、さらに人材も、ファデル氏とロジャース氏の元Appleの重鎮に加え、約300人の従業員の中にいるApple出身者100名も獲得することになる。

Googleの買収により、Nestが収集するユーザーデータがGoogleの手にわたるのではないかと懸念されているが、Nestは今後も従来通りファデル氏の下でNestブランドを維持し、事業を継続する。
ファデル氏は、今の段階では何も変わらないこと、データも製品の改善のためにのみ収集し、もし変更することがあれば、第一に変更を開示し、その変更はオプトイン(ユーザーが自分で有効にする)にすると約束した。Thermostatなどの製品販売やサポートを継続し、iOS向けアプリなどもそのままだという。

つまり、Googleは、長期的な視野に立って投資を行っているといえよう。
今回の両社のM&Aによって、Googleは、情報をオフラインで収集する方法を持つことになる。
これは、Googleにとって、主要な顧客である広告主にとって貴重なデータになる。
なぜなら、Googleは、情報を利益に結び付ける広告事業を行い、結果を出すビジネスであるからだ。
この買収額は、人々のオフラインとオンラインのアクションを組み合わせるアルゴリズムをGoogleが得るためだとしたら、決して高額ではないのだろう。

ファデル氏は、iPodの父であるように、本質的にはエンジニアでありデザイナーである。
Googleが、オフィスの管理や税金の処理、商品製造など、CEOのファデル氏の仕事である経営部分を担うことで、ファデル氏は自らの「本質」に戻ることができる。
つまり、Nestは、技術開発に専念し、しばらく赤字であっても、Googleに買収されることで財務面を心配することもなくなる。
特許関連についても、世界を相手にするGoogleの存在は大きい。

ファデル氏がかつていた米アップル(AAPL.O)は、昨年秋に、イスラエルの3D感知技術会社プライムセンスを3億4500万ドルで買収した。
プライムセンスはデジタル機器が動作や物体を感知して深度や色彩に反映させる技術を持つ。
また、携帯端末搭載の3Dカメラで利用できる新しい深度感知技術も開発している。
Appleは、どこまでも、PCやiPhoneとしてのデザインにこだわっているのかもしれない。

ファデル氏は、自身のブログでNest Labs設立の理由を「家そのものが思考することをビジョンとしている」と書いている。
「家自体が賢くなるために学習し、こまごまとしたことは全部やってもらうことで、人間は、人間にしかできないことに集中できるようにする」ということがコンセプトだと。

ビジネスプロデューサーをはじめ、思考する人には、そのことに集中できる場が必要となる。

スマートホームが実現する時、その時間をどのように使うか、は、賢い家以上に、人間が賢くならねばならないだろう。
Googleの本当の狙いは、環境が人に都合のよくなった時、そこで生まれた時間を有益に使う人間たちを見極めるための手段なのかもしれない。

Photo Nest

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