Y世代を活かす未来ビジネス
フリーター増加
18日に総務省が発表した2013年の労働力調査の詳細集計によると、15~34歳の若年層人口に占めるフリーターの割合は6.8%。
前年より0.2ポイント増え、調査を始めた02年以降で最も高くなった。
アルバイトなどで働くフリーターの数は2年ぶりに増加し、2万人増の182万人。
フリーターの内訳は、男性が2万人増の84万人、女性が前年と同じ98万人。年代別では15~24歳が80万人で3万人増加した。
少子高齢化で若年層人口が減り続ける中で、正社員に定着できずパートやアルバイトで働く若者が高水準で推移しており、フリーターの割合が上昇したと分析する。
成長する国、インドや中国では毎年数百万人単位でハングリー精神旺盛な大学卒業者が誕生している。
時代は、インターネット・通信環境が大きく変化し、ルーチンワーク的な業務も、ソフト開発も、こうした新興国へのアウトソーシングが増加している。
これまでのように、一定の仕事枠を日本人同士で争う小さなビジネスの時代は終焉を迎えている。
さらに少子高齢化により、人口バランスの悪化は、国内マーケットを縮小させ、今必要とされているといわれる介護業界の倒産が相次ぐのも(13年1-10月の老人福祉・介護事業の倒産件数は、44件(前年同期比62.9%増))、若者の物言わぬ自然淘汰の結果かもしれない。
若者の感覚
今、日本の人口バランスを狂わす多数の高齢者のためのための設備や業界を増やしても、団地世代の残骸が散らばりゴーストタウン化しているように、介護業界も消えゆくということを、若者は感覚で察知し見越しているとも感じ取れまいか。
欧米では職業選択はハイスキルとロースキルに二分化し、その間は空洞化している。
なぜなら、技術(ロボットやシステム)がそれを補うか、他国の人間(移民やアウトソーシング)で、それを埋めているからである。
「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」
と米デューク大学の研究者は予測している。
日本は、メード・イン・ジャパンの品質で勝負をしてきた。
しかし、よくよく考えれば、ある製品を世界一軽くするとか、世界一薄くするといった、すでにあるものを加工によって高価値にすることで競争に打ち勝ってきただけで、変革といわれるような新しいものを生み出してきたわけではない。
Y世代とは
ベストセラー『WORK SHIFT』の著者でロンドン・ビジネススクール教授リンダ・グラットン女史はY世代(1980年から1995年ごろに生まれた世代)を知ることが重要なキーだという。
Y世代に対し、世界で最大規模の調査を行ったところ、国籍問わず、非常に似通った価値観を共有しているという。
それが可能になったのは、ネットが世界をグローバル化しはじめ、歴史上初のグローバルに繋がった若者を生んだことが理由だ。
インターネットを使って会話し、WebサイトやSNS、ゲームなどで繋がる。
しかし、国境を越えて価値観を共有しながらも、日本の若者の働き方に対する考え方は、他の先進国の若者に比べ、大きな違いがあるという。
日本は縦の階層組織が幅を利かせ、仕事のスキルや結果よりも、オフィスに長時間いることが重視されていると感じている。
つまり、日本の若者たちは、世界中の若者とコミュニケーションを可能とし、世界を見ていながら、変えがたい古い価値観に縛られた国内の職場環境で働いているという矛盾を抱えて生きているのだ。
グローバル言語
英語がグローバルな共通言語であるのは事実であり、グローバル化社会に本当に参加するならば、英語を身につけるしか道は無い。
活気ある新興国のインド、中国などは、国を上げて英語習得に力を入れている。この点でも、日本は後れを取っている。
若者たちをフリーターと呼び、どうしようもないという目で見ている大人は、果たして、自分の好きなことを胸を張って、彼らに伝えることができるのだろうか。
自分たちも、自国の外を見る機会を自分で作っているだろうか。
若者たちは、自分で見て感じれば、五感を研ぎ澄ますほど、将来自分が何をすべきかを理解する力を持っている。
井の中の蛙で一生を終えることの恐怖を世界に触れることで感じているのではないだろうか。
そして、言語の壁に負けず、互いを知るコミュニケーションを取ることだ。
企業と社員は、母子密着の日本といわれるような「面倒見のいい親と従順な子供」の関係ではなく、「対等な大人同士」の関係に変えていかねばならない。
「従順ないい子」は、世界で対等に戦うことはできない。
「自分で考え、自分の意志持つ人」となる若者と大人は、総務省の調査結果を別の視点で捉えることだろう。
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(PHOTO : CLUB MANAGEMENT)
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