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Amazonのユーザー数 VS 手作りEtsyの魅力

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BPA JAPANでは、手作りハンドメイドの売り手と顧客のコミュニティサイトともいえるEtsyに注目し、2013年7月13日の記事でも「Etsyは売り手一人一人がヒーロー!」のタイトルでご紹介をしている。

ビジネスプロデューサー協会会員限定のBPA LIVEでも、コミュニティビジネスのビジネスモデルとして紹介をし、BPA内でも注目しているビジネスのひとつである。

2005年にたった3人でスタートしたEtsyは、2015年4月16日に米NASDAQ市場に上場した。

2014年末時点の会員数は5400万人、アクティブな売り手は140万人、アクティブな買い手は1980万人と発表されている。
2014年売上高は1億9560万ドルで、2013年と比べ56.4%急増。しかし純損失1520万ドルを計上し、前年の80万ドルから赤字を拡大している。

世界一のネット通販といわれるAmazonが、ハンドメイド製品を取り扱うオンラインストア「Handmade」の開設準備を進めているとの情報が流れた。

AmazonはEtsyに作品を出品している人に対し、先週、AmazonのアンケートページのURLを記載したメールを送った。
アンケートページには「AmazonのHandmadeに興味を持っていただいてありがとうございます」「我々は現在新しいストアを準備中です。以下のフォームに入力して最新情報をお受け取りください」などとある。

Amazon、Etsy両社は、コメントを控えており、新サービスの開始時期についても未定だ。

Amazonをはじめ、eBay、アリババのような大きなネット通販会社は、Etsyのシステム(C to Cの手数料)よりも、両者のコンテンツをもつ顧客としての魅力に食指を伸ばしたいというところなのだろう。

誰でも、どこでも買える商品を流通させる現在のシステムの限界から、優良な独自コンテンツを並べていきたいという考えが伺える。

一方、上場を遂げたEtsyだが、冒頭で述べたように、運営は赤字である。

Etsyは、ユーザーによるボランティアで、ベータ版として世界各国の言語対応に励んだり、売り手本人のハンドメイド商品や、制作に必要な資材クラフトサプライとヴィンテージ商品の3種類のみの商品取り扱いから、「ETSY WHOLESALE」により、新進ブランド等の卸売りを可能にするなどの取り組みをしている。

ここで、ひとつ参考として、サンフランシスコ、ニューヨークなど、アメリカ4つの都市で消費者と土地の生産者をつなぐ「Good Eggs」の取り組みに注目したい。

都市に住む人が、その地域で採れた新鮮な野菜やお肉を手軽に買えるウェブサービスとして注目を集め、毎週数千人が利用している。

このGood Eggsを立ち上げたのは、Rob SpiroとAlon Slantという、たった二人の若者。

実は、Etsyのサービスがヒントになったという。

当初、生産者と消費者を結ぶだけのシステムであったが、実際の買い物は、スーパーで一度に必要な商品を選び持ち帰るのが当然な社会で商店街が無くなったように、いちいちウェブスタンドを移動して別々にものを購入するのは、消費者にとって非常に面倒である点が見えてきた。

ばらばらに届く商品を何度も受け取る手間や、 生産者によっては配送エリア外で買えないという不便な状態を改善するために、独自の自社配送システム「Foodhub」と呼ばれる配送拠点を作った。

Good Eggsがサービスを展開するすべての都市にFoodhubを設置し、全ての商品はまずFoodhubに届けられ、野菜は野菜専用の、乳製品は乳製品専用の、というようにそれぞれ最も適した温度に設定された冷蔵室に運ばれる。

その後商品は、申し込んだ配送時間にあわせてパッキングされ、Good Eggsの配送車で消費者の元に届けられる。

提供国200か国のEtsy出店者にとっては、世界の流通Amazonの流通システムや、Amazonのアクティブユーザー2億7800万人(Etsyの2080万人)の力を取るか、Etsyで育まれたコミュニティの力を守るのか・・・
複雑な心境といえるだろう。

コミュニティ運営を行う筆者から見れば、価格重視で移り気であり、手作り品のみを求めるのではないAmazonの顧客より、手作りという共通の嗜好・趣味という共通言語をもつ仲間(コミュニティ)としての絆の力を信じたい思いがある。

巨大な力に、立ち向かうためには、コミュニティとしてのEtsyが、ユーザーに対して、さらなる価値を生み出すことが重要ではないだろうか。

(PHOTO:PDPics)

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