フォーブス・メディア、香港投資家グループに売却
フォーブスは1917年創刊の老舗経済誌。ビジネスプロデューサーならば、毎年発表される世界長者番付に目は通すであろう。
ジャーナリストだったB・C・フォーブス氏が創刊。孫にあたる現会長のスティーブ・フォーブス氏まで3代続けてフォーブス家の人間が編集長を務めている。フォーブス・メディア創業のフォーブス家一族は同社の過半数株式を、インテグレーテッド・アセット・マネジメント(アジア)率いる投資家グループに売却を決めた。
米メディアによると、売却額は4億7500万ドル(約482億円)と見込まれ、フォーブスは「同投資家グループは資本のほか、財務および業務面での専門性を提供し、彼らの国際的関係を活用してフォーブス・メディアの普及範囲を世界規模へと戦略的に拡大していく方針だ」と発表した。
インターネットの普及で、24時間365日ニュースを発信するオンラインメディアの台頭、2008年のリーマンショック以来の金融危機は、広告主の雑誌離れを加速し、看板雑誌1本で勝負してきたフォーブス・メディアは、タイムやコンデナストなど大手の総合出版社以上に厳しい経営を強いられてきた。
米メディア業界では、タイムワーナーが「フォーチュン」などを発行する出版子会社タイムを分離。
IACが電子版に完全移行した「ニューズウィーク」をネットメディアに売却した。
非公開会社のフォーブス・メディアは、2006年に45%の株式を投資会社に売却。2010年には、5番街にあるフォーブスの本社建物を、地元の大学に売却し、さらに経営トップにフォーブス家以外で初のCEO、パーリス氏をソフトバンクグループから迎え入れ、新たな成長の柱としてデジタル事業やイベント事業の強化に取り組んできた。
フォーブスのデジタル事業「Forbes.com」は、フリーランスのジャーナリストなど1000人以上の外部寄稿者のネットワークを構築し、広告主が制作費を負担する「タイアップ」型のコンテンツも積極的に導入。コストを抑えながらコンテンツを大幅に拡充し、広告収入の半分以上を占めるまでに成長した。月間訪問者数は3年間で1200万人から2600万人へと2倍以上に増加している。
一方、日本では、株式会社アトミックスメディアが、6月25日に『フォーブス ジャパン』を創刊。
編集長を務めるのは、米資産運用大手ピムコの日本法人であるピムコジャパンの前社長、高野真氏。
デジタル化、WEB化を視野に入れ、イベントも含めた総合メディア化を視野に入れている。