太陽光発電 固定価格買い取り制度活用。鉄道各社、遊休地で新たな収益源を!
自然エネルギーで発電した電力を買い取る「固定価格買い取り制度」を活用し、鉄道各社が太陽光発電事業に相次いで参入している。JR西日本や小田急電鉄、東武鉄道をはじめ、JR東日本や東京メトロは自社の鉄道運行や駅施設で使用している。多くの土地を抱える鉄道各社は、低リスクの資産活用策として太陽光発電に期待している。
JR西日本は、山口県内に所有する未利用地(9万平方メートル)に出力5000キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設予定。年間発電量は約510万キロワット時。一般家庭約1020世帯相当分を見込んでおり、発電した電気は固定価格買い取り制度を使って中国電力に販売する。
今夏に着工、2014年冬からの稼働を目指す。建設場所は、現在、使っていない元産業廃棄物処理場。、同社は「遊休地の有効活用の一環」と説明している。
東武鉄道は、子会社の東武エネルギーマネジメント(東京都墨田区)が3月、栃木県佐野市でメガソーラーの工事を開始。東武鉄道が保有する東武佐野線葛生(くずう)駅南側の約1万6000平方メートルの鉄道貨物ヤード跡地を活用。出力1000キロワット、年間発電電力量は128万キロワット時と一般家庭約350世帯分を想定。固定価格買い取り制度を活用し、7月の発電開始を目指す。
小田急電鉄や名古屋鉄道グループも、固定価格買い取り制度を活用して太陽光発電事業に参入すると発表。
一方、JR東日本は京葉車両センター(千葉市美浜区)の空き地などに面積6600平方メートル、出力1050キロワットの太陽光パネルを敷き詰め、13年度中に発電を開始する。発電した電力は同センターの事務所などで使うほか、電車の運行にも活用する計画。
東京メトロも自社施設で使う電力を太陽光発電から賄う。13年度中に東西線の地上駅で太陽光発電設備を設置。西葛西から西船橋までの8駅合算の出力は約1000キロワット、年間発電量は約100万キロワット時を見込む。
すでに妙典駅(出力253キロワット)や浦安駅(98キロワット)に設置済みで、各駅でエスカレーターやエレベーターなど設備を動かすのに使用しているほか、発電量が多い場合は隣接駅に融通する。発電した分を必ず使い切れるため、固定価格買い取り制度を活用しなかったという。
鉄道各社の相次ぐ太陽光発電事業への参入は、遊休地などを活用し、収益源として活用する狙いがある。固定価格買い取り制度は、国が再生可能エネルギーを普及させるため創設した。事業用の出力10キロワット以上なら20年間にわたって同じ価格で買い取ることを電気事業者に義務づけており、「確実に収益が見込める」(鉄道大手)。このため、鉄道各社の背中を押しているようだ。