安い人件費を求める放浪者?ユニクロの値上がりは何を示唆する?
ユニクロは、夏に投入する秋冬ものの新商品に合わせて、ほぼすべての商品を5%前後値上げする。
価格と高品質を両立させ、「デフレの勝ち組」といわれていたユニクロのこれからは、どうなるのだろうか。
ユニクロは、生産の合理化などでコストを吸収してきたが、原材料の値上がり、円安による輸入コストの増大が要因といわれる。
ユニクロは、これまで、SPAと呼ばれる、商品の企画・開発から販売まで一貫して自社で手掛ける製造小売り方法で急成長してきた。労働コストが安い中国などで製造、輸入し、低価格で販売することで、「デフレ時代」に売り上げを伸ばした。
しかし、近年、中国も人件費が上昇。より安価な労働力を求めてバングラデシュなどにも生産拠点を拡大しているが、中国での生産をやめることもできない。
これまで、低価格集客で売り上げを伸ばしてきたが、最近は減少した客数の代わりに、客単価の上昇で補う構図に変わっている。値上げに踏み切ったのも、こうした基調は維持できるとの判断が働いたようだ。
カジュアル衣料品店のしまむらは、ユニクロとは対照的に少量多品種を売りにしている。しまむらでは「それぞれの商品の価値に見合った価格設定をしており、一斉値上げなどない」と、値上げには否定的だ。大手スーパー、イオンは消費増税時にプライベートブランド(PB)商品の価格を据え置き「値上げは今のところ考えていない」と話す。
ユニクロは、低価格を維持するために、コストの安い新興国を放浪し続けるであろうか。
現在の日本はグローバル市場の競争の中、アメリカをはじめとする先進国の生活水準を基準に、社会の制度が成立している。
しかし、すでに限界にきているのではないだろうか。
ビジネスプロデューサーであったら、どのように、これからの日本を考えていくのだろう。