Amazon新社屋にバイオドームが出現するか?
Amazonは5月21日(米国時間)、Seattle City Hall’s Design Review Boardで、新キャンパスになる可能性がある建造物の新たな図面を多数公開した。図面には、巨大な鏡張りの生態圏を模したドーム型の建物群と高層のオフィスビル1棟が並んだキャンパスが示されている。設計は建築事務所のNBBJが手掛けたもので、緑の空間や修景もふんだんに取り込まれている。
テクノロジ企業の新社屋は、可能な限り斬新で、前衛的なものにするのが最近の流行になっている。Amazonもそうした時流に乗り出した。
6万5000平方フィート(約20平方キロメートル)の敷地には、5階建てのビル。その周りを取り囲むのは人間が心地よいと感じる環境をつくりだす数々の木々。これらは全てガラス張りのドームの中にある。斬新で大胆なデザインである。さらに、ドームのすぐ横にはAmazonの建設予定の高層ビルがあり、ドームはちょうどこのビルの影になる場所に位置しており、ドーム内に快適な環境を作り出す。
「緑豊かなオフィスは、従来のオフィスでは得られない素晴らしい環境を作りだす」
「より自然に近い、公園のような環境の中で社員が働き、交流することができる、新たな環境を作り出すこと」
プロジェクトの企画書では、この設計の背景にある意図をこう述べている。
「植物が豊富にある環境にはメリットが多い。典型的なオフィス環境では往々にして見つけられない。この建物の形状は、視覚的に温室あるいはサンルームを連想させるものだが、人々にとっても快適な微気候での共生にふさわしい植物が選択される予定である」(同企画書)
このドームの狙いは、創造性のあるスペースが創造的な思考を促すというハイテク業界で広く支持されている考え方に従って、アマゾンの従業員たちが集まって自由に交流できる場所を提供することにある。
企画書によると、オフィス棟には社内食堂、ミーティング、ラウンジ用のスペースが備えられ、「世界各地の生態系を模した、さまざまな植物ゾーン」が設置されるという。同キャンパスの設計には、37階建てのオフィスタワー3棟で計330万平方フィート(約31万平方メートル)のオフィススペースが含まれる。3棟の巨大なドーム型建造物の高さは、80~95フィート(約24~29メートル)だ。
Amazonは、以前からオフィスの拡張を計画してきた。同社は2012年10月、シアトルに新たなオフィススペースとして180万平方フィート(約17万平方メートル)の土地を11億6000万ドルで購入している。
21日に開かれた委員会で議論となった問題のひとつは、ドームへの一般の立ち入りが不可だったことだ。周囲の緑地エリアからドームを覗き見ることはできるが、その中に入ることはできない。
ただし、いかにもアマゾンらしい例外がある。
世界最大のオンライン小売店である同社は、最新のテクノロジーを活用したこのドームにオフラインの店舗を設ける計画で、ここには一般人も立ち寄れるのだという。「最新のテックバブル(泡=ドーム)」のなかに店舗が開設される。