銀行が24時間振込可能な決済システム導入
現在、銀行での振込は、平日午前9時から午後3時が原則となっており、午後3時以降や土日祝日に行う他行宛の振込は、翌営業日回しとなる。
ネット銀行など、24時間営業で、振込手数料も安い。
それに比べ、銀行は、預け入れても利子は低く、振込手数料はネット銀行などと比べ、高額だ。
リアル店舗の必要性を感じない若者も多く、今後の生き残り戦略ともいえよう。
14日に大手銀行5グループの2014年9中間連結決算が出そろい、純利益の合計は、前年同期比1.6%減の1兆6300億円だった.
金利低下による国内貸し出しの利ざや縮小や投資信託の販売手数料の低迷が響いたことが原因とみられる。
しかし、銀行の本業の貸し出しによる利益は低調だ。
国内法人向けの貸し出しそのものは、三菱UFJフィナンシャル・グループが今年3月末比2000億円増、三井住友FGが5000億円増など、景況感の改善を受けて増加基調にある。
しかし、設備投資や海外でのM&A(企業の合併・買収)など前向きな資金需要は一部の大企業に限られ、企業の手元資金は潤沢で「ダイレクトに貸し出しの増加につながらない」のが現状だ。
そこで、全国銀行協会は、振込を24時間・365日できるようにする新たな決済システムを導入し、2018年中の稼働を目指す。
仮想通貨のビットコインやペイパルなど銀行を通さない決済サービスが広がり、銀行は利用者の利便性の向上を考えざるを得ない。
新システムは振込専用で、基本的に、参加する銀行に預金口座を持つ人は、いつでも参加行に口座を開いている人にお金を送ることができるようになる。
現金自動出入機(ATM)やインターネットでの利用を想定している。
開発費は約50億円を見込む。約1400の金融機関が使っている全銀システムの開発費は約800億円。
果たして、そこまでの開発費をかけて、振込が24時間可能になるというのは、利用者にとってメリットになるのであろうか?
これまでも、銀行のシステムトラブルは繰り返され、筆者もATMを利用中に突然、画面が「お取引できません」になり愕然としてインタフォンで連絡を取ったことは一度や二度ではない。
メンテナンスに関しても、逆にコストがかかり、手数料に反映され、利用者にとっては、不利益を被ることにはなるまいか。
一説には、銀行の人件費は、ATM手数料で賄えるほどの収入だともいわれている。
また、高齢者を狙った振り込め詐欺がいつでも瞬時に成立してしまうリスクも高まる。
いくら銀行窓口で「オレオレ詐欺の手口」を映像で流していても、詐欺に遭う高齢者が後を絶たないのは、その告知の方法に誤りがあり、24時間振込可能となった場合、タイムラグがないことで、犯罪発見が遅れ、犯罪増加の恐れを感じる。
利用者が、銀行に望んでいることは、振込24時間可能というサービスではなく、窓口営業時間の延長や土日営業、手数料の引き下げや無料化、ATMの現金引出し時間の延長という点が上げられる。
デビットやマスター電子マネーは、手数料無しで銀行のお金を使うことができる。
銀行は、手数料収入を上げることを考えるのではなく、利用者のメリットを高め、その価値から対価を求めるビジネスモデルを作ることが、生き残りの急務ではないだろうか。
自らが自由なビジネスプロデューサーは、枠を超えたビジネスモデルを創り出す。
必要なことは、銀行が本業で利益を生み出し、利用者も利用価値あるシステムを創り出すこと。
それが出来るのが、ビジネスプロデューサーという存在だ。
(PHOTO : Trevor Williams by flickr)