ユニクロと大和ハウスが連携、物流倉庫の私募リートを組成
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングと大和ハウス工業は、物流事業で提携したと発表した。
共同出資で新会社を設立し、ユニクロのネット販売の注文を、即時発送に取り組む。
東京都江東区有明1丁目に専用の物流集約倉庫を平成28年初めにも竣工させ、運用に入る。
建設地は、東京都江東区有明1丁目1-8。敷地面積は1万坪超。RC+鉄骨造の地上6階建てで、延べ床面積は3万4000坪にという。11月15日に着工開始、2016年1月25日に竣工予定。
ネット販売での配送の時間短縮を目指し、物流倉庫から直接購入者へ配送する新しい物流体制を取る。
また、店舗のリアルタイムの販売状況を基に、欠品防止のため必要な商品を短時間で配送する。
さらに倉庫にバックルーム機能を備え、商品をすぐに陳列できる状態で配送、店頭欠品を減らし、顧客のニーズに沿った商品のカスタマイズに対応できる加工機能を備えるという。
物流の司令塔として、店舗や宅配パートナーとの連携を図り、店舗とともに、顧客への情報発信基地として機能させる考えという。
今後、国内各地に物流倉庫を整備し、海外展開も視野に入れている。このため、大和ハウスは私募リートを組成し、物流倉庫の開発を進める。
大和ハウス工業では、1990年より、ファーストリテイリングの店舗開発に取り組んでおり、2006年には店舗開発に関する業務提携協定を締結するなど、同社の約550店舗の開発をサポートしてきた。
非上場オープンエンド型不動産投資法人(私募リート)とは、投資法人の仕組みを利用して、不動産または不動産信託受益権の運用を行う不動産ファンドの一つであり、近年日本でも運用が開始されている。
私募リートは、投資の評価に不動産そのものの評価に基づく基準価格を用いることで証券市場の要因を排除できる特徴や、投資期間が無期限であるという特徴を持っているため、年金基金などの長期安定運用というニーズを満たすことができる不動産ファンドとして注目され始めている。
私募REITのメリットは「上場されていないこと」と「投資期間が無期限である」という2点だ。
上場されていなければ、株式市場の要因を受ける恐れがない。相場全体が停滞ムードであると株価や投資口価格も低迷する。弱気相場は新たに投資をする分にはチャンスとなるが、すでに保有している投資家は含み損を抱えてしまう。
そして、投資期間が無期限であることで、強制的に償還されることもない。投資期限がある場合、たまたま不動産市況が悪化していると、損失を被ることになる。私募リートには投資期間が設定されていないため、このようなリスクを排除できる。
デメリットとしては、上場されていないため株式市場で売却することはできない。そのため、投資資金を回収したいと思った時にジャストインタイムではなかなか換金できないということがある。
ただし、運用会社側もこのデメリットを小さくしようと、定期的な増資や、小口物件を取り込んで解約に応じる等、様々な工夫を行っている。
とはいえ、上場されているJ-REITに比べると、その流動性は少ない。
ビジネスプロデューサーは、果たして、私募リートのメリット、デメリットをどのように読み解くだろうか。
(PHOTO by Takuya Igarashi:flickr)